富山湾の海底で、大規模な崩落が確認されたことが海上保安庁の調査で分かった。富山市では、能登半島地震の発生からわずか3分後に津波が押し寄せた。専門家は「海底の地すべりが起きて津波の発生源となった可能性がある」と指摘している。

地震発生から3分後 津波第1波到達

提供:海上保安庁
提供:海上保安庁
この記事の画像(4枚)

海上保安庁は、1月15日から17日にかけて、富山湾で音波を発射する装置を使って海底を調査した結果、富山市の沖合約4キロ、深さ300メートルほどの斜面で、大きな崩落を確認したと発表した。

長さは約500メートル、幅約80メートル、深さは最大40メートルほどで崩れた土砂約50万トンは、25メートルプール約800杯分に相当する。

能登半島地震が起きた元日。富山市では地震発生の約20分後に最大で80センチの津波を観測した。その津波が到達するよりはるかに早い、地震からわずか3分後に第1波が観測されている。

津波のメカニズムに詳しい中央大学の有川太郎教授は25日、入善町で海岸を調査していた。

津波のメカニズムに詳しい 中央大学 有川太郎教授
津波のメカニズムに詳しい 中央大学 有川太郎教授

中央大学 有川太郎教授:
「いわゆる断層滑りで起きる津波が一般的な地震の津波だが、それではなくて、海底地すべりで発生した津波だと考えている」

有川教授は、地震発生からわずか3分で到達した津波は、能登半島の震源域から来た津波ではなく、富山湾で起きた海底地すべりによるものではないかと指摘する。

中央大学 有川太郎教授:
「富山湾そのものが急に深くなっているところが多い。傾斜の強いところで地すべりが起きると、海底地すべりによる津波が発生しやすい。地すべりによって津波が起きれば、3~5分で津波が来る可能性がある」

入善町で2メートルの津波観測か

入善町の海岸(1月25日撮影)
入善町の海岸(1月25日撮影)

有川教授が入善町の海岸を調査して、判明したことがあった。

能登半島の震源域から来た津波は、富山市で最大80センチ観測されたが、入善町では、最大2メートルほどの津波が来ていた可能性があるという。

中央大学 有川太郎教授:
「このあたりも渋滞がひどかったと聞いている。どこに逃げるかを事前に考えておくことが大事。このあたりに高いところがなく、結構な時間がかかりそうなので、場合によっては避難ビルを建てて備えることも大切」

有川教授は、さらに規模の大きい海底の地すべりになれば、甚大な被害を及ぼす津波が到達する可能性があるとも指摘。

沿岸部の住民や自治体でどう避難行動をとるか、検討が急務となっている。

(富山テレビ)

富山テレビ
富山テレビ

富山の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。