福島県福島市にあるパナソニックグループの工場が、2025年5月に閉鎖されることが発表された。県都・福島市の雇用と経済にとって、大きな打撃となることが予想される。
理由の一つに工場の老朽化
パナソニックコネクト・新家伸浩執行役員:この工場を維持運営するだけの、事業を確保するという事が大変困難になってきてしまい、今回 苦渋の決断で工場を閉鎖するという事を決定させていただきました

パナソニックのグループ企業「パナソニックコネクト」は、1月18日に福島市で会見を開き、2025年5月末に福島工場を閉鎖すると発表した。
この工場では、1970年からステレオやCDラジカセ、デジタルカメラなどを製造。市場規模の縮小を受けて、2015年にデジカメから撤退した後はカーナビなどで使う電子基盤を生産してきた。

閉鎖の理由にあげたのが、工場の老朽化。建て直しに向けた投資も検討したものの、実現できなかったと説明した。

従業員のほとんどが地元採用
パナソニックコネクトの新家伸浩執行役員は「地元の人々が、しっかり雇用を維持できるという環境を何とか作り出して行きたいと思っている。そこに向けて精一杯努力をしていきたいというのが、私の率直な思い」と話した。
この工場では450人が働いていて、そのうち300人ほどは福島市内からの地元雇用が中心だという。会社では今後1人1人と面談し、希望も踏まえてグループ会社への配属や転職も含めサポートしていきたいとした。

大量生産の形態が時代に合わず
ラジオやデジタルカメラの生産を行っていた全盛期は、社員だけで最大1000人が勤務。しかし、スマートフォンの普及などでデジカメ市場が小さくなるなど状況が悪化していった。工場では、2015年5月にデジカメの生産から撤退。

後を引き継いだ子会社が、パナソニックグループの製品の製造を行っていたが、今回 完全に閉鎖となった。会社は、グループとしての製品を受注・製造しているということで、県内企業との取り引きや県内経済への影響は回答できないとしている。

会見した役員は「福島工場の大量生産という形態が、時代に合わなくなってしまった」「地元に貢献する思いでやってきたが、グループとして雇用を確保できない状態に陥ってしまい申し訳ない」と話した。

会見では閉鎖後の土地の活用についての質問もあったが、会社側は「未定」としている。
(福島テレビ)