年始やこれからの季節は何かと飲酒の機会が増えるもの。同僚や友人と飲み会をする人もいるだろうが、そこで注意してほしいのが「こむら返り」。

ふくらはぎ(こむら)辺りの筋肉が異常な緊張状態となり、けいれんを起こしてしまうことで、強い痛みを伴うのが特徴。睡眠中にもいきなり起きることがある、やっかいな症状だ。

就寝中に発症することも(画像はイメージ)
就寝中に発症することも(画像はイメージ)
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そんなこむら返り、発症には「お酒の飲みすぎ」が関係しているのではないかとも言われる。編集部のメンバーからも「久しぶりに飲んだら、夜中にふくらはぎがつった」という声も…。

新型コロナウイルスが「5類」に移行したため、2024年は新年会や歓送迎会が増えることも考えられるが、こむら返りの注意点や予防法はあるのか。足の悩みに対応する専門病院、下北沢病院(東京)の副院長・長崎和仁医師に聞いた。

脱水などで筋肉の収縮機能が低下

――お酒を飲みすぎると、こむら返りが起きやすくなるのはなぜ?

アルコールによる脱水効果が原因として考えられます。アルコールには利尿作用があり、お酒は飲んだ以上に水分が失われるとされます。また、アルコールを分解するにも水分が必要です。排尿によるカリウムやカルシウムなど、電解質の異常も関与している可能性もあります。脱水や電解質の異常で筋肉の収縮機能が低下し、つりやすくなると考えます。

度数の高いお酒、飲みすぎには注意が必要(画像はイメージ)
度数の高いお酒、飲みすぎには注意が必要(画像はイメージ)

――お酒の種類やアルコール濃度は関係する?

アルコール濃度が高いお酒であればあるほど、利尿作用が強くなります。また、カリウムは利尿作用を増強するため、カリウムを多く含むビールや赤ワインも脱水傾向になりやすくなる可能性があります。ホップやカフェインにも利尿作用がありますので、ホップを使用したビール、緑茶やコーラで割ったお酒を飲むと、さらに脱水傾向になりやすいです。


――飲み会ではどう注意すればよい?

上記のようなお酒は飲みすぎないことです。水分摂取もこまめにしてください。

運動をしていない、筋肉が硬い人は注意

――こむら返りを予防するためのポイントは?

こむら返りの起こる原因としては、色々な病態が隠れていることがあります。坐骨神経障害を伴う腰椎ヘルニアなどの腰椎疾患、末梢神経障害が生じるアルコール中毒や糖尿病など、下肢閉塞性動脈硬化症などの動脈疾患、下肢静脈瘤などのうっ滞症候群など。上記の病態がなくても、立ち仕事や座り仕事をしている、妊娠中や太っている人などは下肢のうっ滞になりやすく、つりやすくなります。運動をしていなく、下肢の筋肉自体が硬い人もつりやすいので、日ごろからのストレッチが必要です。

飲酒後も水分摂取を意識しよう(画像はイメージ)
飲酒後も水分摂取を意識しよう(画像はイメージ)

――飲酒後、予防策としてできることはある?

飲酒後には水分を多くとるようにしましょう。また、足の冷えや足の硬さも(こむら返りの起きやすさに)影響しますので、足を温かくして寝る、寝る前にストレッチするなどの対応が必要です。

筋肉を温めるのも良いという(画像はイメージ)
筋肉を温めるのも良いという(画像はイメージ)

――こむら返りが起きた場合、できることはある?

下肢のつりは、ふくらはぎかすねの筋肉がけいれんすることが多いため、純粋に伸ばすと良いです。ふくらはぎの筋肉ならアキレス腱のストレッチで、すねの筋肉なら足首を底屈(足首を伸ばし、つま先を下に倒す動き)させて筋肉を伸ばすと良いでしょう。再燃しないよう、水分を多くとり、ストレッチしたり温めたりしてください。

こむら返りが頻発する場合は病院に

――こむら返りが他の病気を招くことはある?

こむら返り自体は病態の結果に起こる状態であって、原因が何かで異なります。筋肉が異常けいれんした状態が長くなると、筋肉痛、下肢痛をもたらすと思われます。


――頻発する場合、診察などは受けるべき?

基礎疾患を評価する必要がありますので、血管外科、循環器内科、整形外科、糖尿病内科などを受診する必要があります。
 



お酒は飲みすぎると利尿作用などで、筋肉のけいれんが起きやすくなるようだ。こまめな水分摂取や適度なストレッチ、筋肉を温めることが良いというので試してみるといいかもしれない。

『足の先生! 足のむくみ、だるさ、冷え、下肢静脈瘤どうすればラクになるか教えてください。』(アスコム)
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プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。