今シーズン最も強い寒波が日本列島に襲来し、日本海側を中心に大雪となった。雪は23日にかけてピークとなる見込みで、関西でも大きな影響が出る恐れがある。
12月22日は1年で最も日が短い「冬至」。そんな「冬至」は、最強寒波の影響で各地で今シーズン一番の寒さとなった。22日、福井県、富山県、石川県には大規模な交通障害が発生する危険があるとして「顕著な大雪に関する情報」が出された。
■最強寒波 北陸で激しい雪 近畿も厳しい寒さ

京都市内では、最低気温が氷点下1度となり、底冷えする朝を迎えた。徳島市内では最低気温0.2度まで下がり、午後1時ごろには激しい雪が降った。大阪市や神戸市、奈良市など近畿各地で今シーズン一番の冷え込みに。兵庫県北部の香美町では、最低気温氷点下0.8度という厳しい寒さで、積もった雪の中を子供たちは登校していた。
23日も強い寒気が流れ込み、冬型の気圧配置が続く見込みで、特に近畿北部では23日にかけて大雪となり、同じ場所で降り続くと警報級の大雪となる恐れがあるので注意が必要だ。
■最強寒波 片平敦気象予報士が解説

今シーズン一番の寒波で、22日から23日にかけ日本海側では警報級の大雪になる恐れがあり、「線状降雪帯」に注意だという。近畿の積雪はどうなるのか、そして雪への備えについて、気象予報士の片平敦さんに聞いた。
片平敦気象予報士:
(22日夕方5時前の兵庫・豊岡市の映像)手前の町並みが城崎温泉街というところです。標高の高いところから撮っていて、たくさん雪が降っている様子が見えます。真ん中辺りの温泉街は真っ白です。豊岡の町の方まで出るとまだ雪は積もっていないようですが、温泉街は雪がかなり積もっていて、これからさらに雪が強まる所もあり、気を付けていただきたいと思います。
■「線状降雪帯」による大雪に注意

ちょうど1週間前、大阪では最高気温20度近くなり、そこからすごい乱高下となった。寒さはいつまで続くのだろうか?
片平敦気象予報士:
23日・24日ぐらいまでが、雪の降り方の中心で、その後気温が上がってくると思うので、今週末の雪と寒さを何とか乗り切っていただきたいと思います。
雲の様子ですが、、冬の天気予報でよく出てくる『筋状の雲』が、22日正午時点で日本海にたくさん出ていました。大陸の方から冷たい空気が流れ込んで、日本海がわりと暖かいので、お風呂の湯気のように雪雲が出ているわけです。『筋』の向きがよく見ると南の方と北の方で違っています。2方向の筋がぶつかる真ん中あたりに発達した雲が並び、黄色い点線で描いた辺りに特に発達した雪雲ができています。
シベリアの方から冷たい空気が流れてきて、朝鮮半島北部の高い山にぶつかることで左右に迂回し、その風がぶつかるところができます。風がぶつかるような所は、雨雲や雪雲が発達しやすく、朝鮮半島の高い山の風下側の日本海に、発達した雪雲が列をなして、『線状降雪帯』と呼んでいる研究者もいるぐらいの雲の状態になります。大雪の時は、この雪雲のラインがどこに来るか気象関係者は注目していて、22日午前中、北陸の方でたくさん雪が降ったのが、ちょうどラインの先に当たるところだったというわけです。
この後、寒気が若干弱まってきますが、このラインはだんだん南へ下がってきます。近畿、特に滋賀県方面を中心に、22日夜には雪の強まるような所も出てきそうです。近畿地方は23日の明け方ぐらいまで雪の降り方が強く、激しくなる恐れがあります。近畿北部の山地では、23日の夕方までに多いところで、現時点よりさらに50センチ雪が降る恐れがあります。23日にかけての夜のうちにたくさん雪が積もる恐れがありますので、注意が必要です。
近畿中部や南部に雪が降る可能性ですが、大阪あたりでは降っても積もるようなことはないでしょう。ただ例えば京都市内でも少し北のほうの山あいまで行くとうっすら積もることも十分ありますので、普段雪が少ない地域の方も、特に山沿いの方は気を付けてください。
■週末の注意ポイント「転倒」「交通の乱れ」「車の事故」

週末の外出時には、次の点にご注意を。
・歩道橋やマンホールの凍結で転倒
・交通機関の乱れ・遅延・立往生 既にJR西日本の一部区間では列車に遅れが出たり、運転とりやめの可能性があるとしている。
・車のスリップ事故・立往生
片平敦気象予報士:
雪が積もらないような地域でも、気温がかなり低くなるので、街中でも滑りやすい所があると思います。手をポケットに入れたりすると危ないので、手袋をしっかりして、両手を自由にしてお出掛けするのがいいと思います。家を出た瞬間、段差になっているところもありますが、そのような所がすごく危ないので気を付けてください。
交通機関について、急な大雪なのでまだ慣れていない方が多いと思います。交通の乱れに巻き込まれないように、不要不急の外出はできるだけ控えるのがポイントです。

車のスリップ事故・立往生にも注意が必要だが、やむを得ず近畿北部などに車で行く場合は、備えを。事故への備えとして雪道を運転する前にはチェーン装着、タイヤを上げるジャッキや三角停止表示板などの準備を。そして雪道で立ち往生してしまった場合の備えとして、雪かき棒、スコップ、長靴・防寒着、非常用の水・食糧、毛布、使い捨てカイロなどが必要になる。
関西テレビ 神崎報道デスク:
実際に立ち往生してしまったとき、車の排気ガスが出る配管が雪で詰まって、排気ガスが車内に戻って一酸化炭素中毒になる恐れがあります。寒くて大変ですが、時折り車外に出て、配管周りの雪をスコップなどで雪かきしてください。あと運転席ドアが開かなくなることもあるので、ドアの周りも雪かきしてください。しばらく車内にいると、車の中の空気が汚くなってくる場合もありますので、寒いのですが少し窓を開けておいて、換気することも大事です。

■視聴者から質問
Q.自転車通学なので寒さがしんどいです。いつまで寒さは続きますか?
片平敦気象予報士:
一番寒いのは今週末の土日ぐらいで、来週はちょっとマシになると思います。年末は学校お休みかも知れませんが、年末は気温が高くなりそうです。
Q.年末に帰省します。寒波は年末の帰省ラッシュにぶつかりますか?
片平敦気象予報士:
今のところ年末年始は穏やかで、むしろ気温がいつもよりも高いぐらいという予想です。ラッシュで寒波にぶつかることはなくても、寒暖差が大きくて体調崩さないように気を付けていただきたいと思います。
まず22日夜から23日にかけ、路面の凍結、そして立往生などにご注意を。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年12月22日放送)