自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。
お正月を親戚たちと過ごす、小木(こぎ)さん一家のココロちゃんとマナブくんきょうだい。
でもパパとママにはこんな心配事が…。
「久しぶりに会う親戚の子どもたち。前回会った時はまだ小さかったけれど、ちょっと成長した今、距離感がわからない!一体何を話したらいいの!?」
お正月には親戚たちで集まって過ごすという人も多いはず。そんな時にちょっと困るのが、子どもたちとの会話!
前回会った時はまだ赤ちゃんだったのに、いつの間にかしっかりお話ができるように。はたまた、ついこの間まで幼稚園児だったはずの子どもたちが、いつの間にか小学生に…。
自分の子どもと同い年だった場合はいいけれど、“普段接しない年齢”の子どもたちとスムーズに会話をするというのは、なかなか難しいもの。せめて「○歳の子どもにはこんな話題がオススメ!」なんていう“指標”だけでも知っておきたい…。
年齢別の子どもたちとの話し方について、育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。
小学生は低・高学年で大きな差が…
――お正月というちょっと“特殊”な機会。普段あまり会わない子どもたちに対して、まずはどう話しかけるのがいい?
どの年代の子にも共通する点として、もし会うのが久しぶりで、その子の性格や様子を把握できていない場合は、まずは穏やかにアプローチするのが無難です。はじめからテンション高くグイグイ行くのはやめた方がいいということですね。
(1)まずは笑顔と温かなまなざしで「こんにちは」「おめでとうございます」などの挨拶をし、
(2)そこで目がしっかり合ったら、
(3)「久しぶりだね」「大きくなったね」などの一歩目の会話をする
この段階で、(1)(2)(3)が流れるように進めば、つかみは成功です。積極的で物怖じしないタイプの子は向こうから色々と話しかけてくるかもしれません。そうなれば、後半でおすすめする年代別のアプローチが活きてくるでしょう。
一方、(1)の段階でもじもじしてしまう子、親の後ろにさっと隠れてしまう子もかなりいると思います。とくに小さい子であればなおさらでしょう。新しい刺激に対し「接近するか、回避するか」の傾向は、その子のもともとの性格が大きく影響しています。久しぶりの親戚のおじさん・おばさんに対し、ワクワクする子もいれば、ビクビクする子もいるということです。後者の場合は「ゆっくり距離を縮めていこう」と捉えるのが正解です。
基本的に、子どもたちは相手との適切な距離がわかっていますので、近づきたいと思えば近づいてきますし、まだ無理だと思ったら距離を置きます。まずはその子の取る距離をリスペクトしつつ、遠目で様子を観察してみてください。
しばらくして目が合ったり、それとなく興味を示してきたりしたら、子どもなりに距離を縮めてきているサインかもしれませんので、少し近づいてみましょう。もしその子が何かで遊んでいるのなら「楽しそうだね」「見てていい?」と興味を示し、さらには「一緒にやってみていい?」と打診したり、「どうぞ」とそのおもちゃの一部を手渡したり……。こんな風にゆっくりと進めるのがおすすめです。
――子どもたちとスムーズに話したい!どんな話題を選んだらいいの?
年代別のコミュニケーションのポイントや気をつけたいこととして、次のような点が挙げられます。
【幼稚園期まで】
・小さい子ほど言葉よりも「非言語的コミュニケーション」が有効
・その子のお気に入りのおもちゃで遊ぶ、一緒に公園に行く、体を使って遊ぶ、などがおすすめ
【小学校低学年】
・好きなテレビ、嫌いな食べ物、やっている習い事など、嗜好を探る質問から会話を広げていける年齢
・“推し”が出てくるなど、自分の興味が一段とはっきりしてくる時期。全く知らないキャラクターやテレビの話題などをもちかけられても、聞いてあげると距離が縮まりやすい
【小学校高学年】
・この頃になると思春期の入り口ということで、大人との距離を作りたがる子も出てくる
・話しかけてもそっけなかったり、かしこまった受け答えをしたりするのも、「そういう時期に来たんだ」と成長として受け止める
・背伸びしたい時期でもあるので、子ども扱いせずに、久しぶりに会った友達と話す感覚で(「それ(その子の持ち物)いいね」「髪短くしたんだね、似合ってるよ」など)
・その子が恥ずかしいと思うような話題は出さない(「ちょっと前までママの後ろから離れられなかったのよね」など)
あとは、“コミュニケーション”からいったん離れ、老若男女問わずだれもが楽しめることをするのもおすすめです。たとえば「巨大シャボン玉を作る」というようなイベント。キットも売っているので、大人であれば簡単にできますし、子どもたちは必ずや喜んでくれるはず。年差のあるいとこが数人集まった場合もみんなで楽しめると思いますし、そこからコミュニケーションがうまれやすくなると思います。
「子どもの興味に興味を持つ」のがベスト
――自分からグイグイ話しかけてくれる子には、どんな対応をするといい?
ここまではどちらかと言えば「どうやって近づいたらいいのか」という話をしてきましたが、逆に子どもの方からグイグイ来ちゃうというパターンもありますね。こういう場合は、ぜひ「え~そうなんだ」「教えて教えて~」という感じに返してあげてほしいです。その子に思いきり話させるということですね。
基本的に子どもは(とくに幼稚園生くらいまでは)、会話のキャッチボールを楽しもうと思って話題を振っているわけではなく、自分が好きなことを話したいから話しているので、聞いてあげるのが正解です。
全体として言えることは、「子どもの興味に興味を持つ」のが、その子との距離を縮める上での最高の策ということです。「学校はどう?」というような質問もいいですが、子どもの話したがること(テレビの話題など)、その場でやっていること(おもちゃやゲーム)に対し、「知りたい」「教えて」という体で乗ってあげられるとグッと距離が縮まると思います。
成長とともに、興味を持ちやすいこと・話したいことが変わってくる子どもたち。
久しぶりに会う子どもたちには、パパママ世代の目線だと「〇歳の頃はこうだったね」と話しかけたくなってしまうものだが、小学校高学年くらいになると、自分の小さい頃の話は「触れてほしくない…」と思う子どももいるはず。今年はそんなところにもちょっと気を付けつつ、どんな話題を選べばいいか、ぜひ参考にしてみてほしい。
「あなたの投稿が漫画になる!エピソード募集中
「聞きコミ PRIME online」では皆様からの「育児あるある」エピソード投稿をお待ちしています。
・「もういらない」と言ったから代わりに食べたおやつ。「やっぱり食べる!」と言われて大慌て…同じものを用意しても「さっきのがいい!」と泣かれて大苦戦!
・無くしたと思っていたスマホを冷蔵庫の中から発見!なんでここに入れちゃうの!?
などなど、あなたの「育児あるある」に隠された子どもたちの気持ちを探ってみませんか?
※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。
(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。
(漫画:さいとうひさし)