日本の宇宙ベンチャー企業「ispace」は、世界初の民間による月面着陸に再挑戦し、2024年冬にも次回の打ち上げを行う計画を発表した。
月面探査機も公開され、月面の砂を採取するための装備を備えている。政府の後押しもあり、日本は宇宙分野での存在感を高める方針だ。

ispaceが月面着陸に再挑戦

世界初の民間による月面着陸に挑んだ日本の宇宙ベンチャー企業が、早ければ2024年の冬にも次の打ち上げを行うと発表した。

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宇宙ベンチャー・ispaceは、4月に月面着陸に挑戦して失敗したが、ソフトウェアの改良やミッション前のシミュレーションを強化し、早ければ2024年の冬に、次回の打ち上げを行うことを明らかにした。

また、ミッションに搭載される予定の小型月面探査機もお披露目された。

月面の砂を採取するスコップを搭載した月面探査機
月面の砂を採取するスコップを搭載した月面探査機

月面の砂を採取するためのスコップなどを搭載し、今後、月面探査を行っていく上で必要なさまざまな技術検証をしていくとしている。

最大120億円が政府から交付

「Live News α」では、経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
月面着陸への再挑戦、いかがですか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
前回の課題を活かした再チャレンジ。ぜひ、成功させて欲しいですね。
ispaceがいまチャレンジしているような「月に物を運び、着陸し、月の砂を持ち帰る」ミッションは、宇宙開発への第一歩なのです。
PwC社の予測では、2020年~2040年の月面輸送の世界市場の累計規模は、最大約1020億米ドルと見込まれていて、そのうち日本は約12%を占めると予想されています

堤 礼実 キャスター:
宇宙開発において、日本が存在感を示せるといいですね

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
政府は日本の宇宙産業の市場規模を、2030年代初頭には倍増させたいとしています。先月、政府が「宇宙スタートアップ」16社に、約388億円の投資を決めています。
「宇宙分野」は民間の投資だけでなく、政府の後押しがあります。ispaceはそのうち、最大120億円が交付されることが決まっています。かなりインパクトのある数字ですね

堤 礼実 キャスター:
ispaceは宇宙開発で、どんな役割を果たそうとしているのでしょうか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
ispaceが目指している宇宙開発は、まずは月へ物を運び、月面への着陸を目指します。そして次のステージでは、月面を移動したり、月面開発への参加も視野に入れているようです。
スケジュールとしては、2030年頃までには、年間2回ほどの定期的な月面輸送を目指しています。物を運べるようになれば、今よりもずっと月面の開発が効率的に進むはずです

自前の宇宙輸送手段確保する強み

堤 礼実 キャスター:
宇宙開発、どこかワクワクしますね

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
日本のスタンスとしては、アメリカの提案であるアルテミス計画に参画することを決めています。ここでは、女性の宇宙飛行士による月面到着が予定されています。
さらに、地政学リスクが高まるなかで、通信衛星の利用や安全保障上の観点などから、自前の宇宙輸送手段を確保できる意味は、非常に大きいと思います

堤 礼実 キャスター:
月には多くの資源があると言われていますし、宇宙を知ることは、私たちの暮らしや生命活動にも影響を与えるはずです。前回の経験を活かして、成功に繋がるといいですね
(「Live News α」11月16日放送分より)

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