6日、三菱UFJ銀行など大手銀行の一部が定期預金の金利を引き上げた。定期金利の上昇によって預金者がメリットを受けるほか、銀行側も運用益がでる可能性があるという。専門家は、金利が上昇するには、コストアップによる物価上昇と“経済体温”上昇による景気成長、2つのケースがあると解説する。

大手銀行の一部が定期金利を引き上げ

日銀が金融政策の運用を見直し、長期金利が上昇する中、大手銀行の一部が定期預金の金利を6日から引き上げた。

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三菱UFJ銀行は、10年定期ではこれまでの0.002%から、100倍となる0.2%に引き上げ、2012年以来の水準とした。

5年定期と6年定期の金利は0.07%、7年から9年定期の金利は0.1%になる。

また、三井住友信託銀行と三菱UFJ信託銀行も、5年定期の金利を0.07%へと、これまでの0.002%から引き上げた。

このほか、三井住友銀行も10年定期の金利を0.002%から0.2%へと、100倍に引き上げることを決めているほか、みずほ銀行も引き上げを検討中としている。

金利上昇で銀行側にも運用益

「Live News α」では、経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
定期金利の引き上げ、どうご覧になりますか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
日銀が10月31日に、長期金利の上限である1%を超えても、ある程度、容認すると決めました。足元で10年の金利が上昇していて、銀行もこれを反映する流れです。

金利が現在の0.002%から0.2%になると、例えば、100万円を銀行に預けていれば、年間2000円の利息が付くことになります。

これまで、20円しか金利が付かなかったことを考えれば、少しお得感があるかなという程度でしょうか。

堤 礼実 キャスター:
ただ、預金利息の引き上げを行うと、銀行にとって負担になるという事はないのでしょうか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
当然、利息が増えると、銀行から個人に払う金額が増えます。しかし、足元の金利上昇で、銀行側も運用益が出る可能性があります。

具体的には、銀行は個人から預かったお金を企業に貸し出したり、国債を購入して運用に回してお金を増やしている訳です。

今回の定期金利の上昇によって、預金者はメリットを受ける訳ですが、銀行が顧客である預金者に還元していく動きは評価できます。

ただ、こうした金利の引き上げが進むと、より利息が高い銀行に預ける動きが出てくる可能性があります。

経済が温まり「金利がある世界」へ

堤 礼実 キャスター:
銀行にお金を預ける私たち預金者にとって、金利引き上げの影響は大きいようですね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
金利のある世界は私たちには、馴染みのないもので、まだまだイメージがつかないかもしれません。

金利が上昇するには、2つのケースがあります。
1つは、コストアップによって物価上昇して、それに伴って金利が上昇するケース。
もう一つは、経済の体温が温まり、景気の成長に伴って金利も上昇する場合です。

当然、経済が温まって上昇していくことを目指しているわけですが、現段階では、もう一つのコストアップによる金利の上昇が起きています。

企業業績を確認しても、日本企業は好調で、特に円安で恩恵を受ける企業が経済をけん引してますが、国民が成長や恩恵を感じられるまでには、タイムラグがあります。

いまは、国民のマインドを冷やさない対策が求められます。

堤 礼実 キャスター:
ユーザーである私たち自身、改めて金融機関のサービス内容を確認して、利用する必要がありそうです。
(「Live News α」11月6日放送分より)

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