アップルが、新型のMacBook ProとiMacを発表した。自社製半導体チップM3シリーズを搭載し、処理性能向上のほか、省電力化を実現し、バッテリーは最大22時間使用が可能だ。

この発表について専門家は、アップル業績向上の起爆剤とはならないとみている一方、中長期的には半導体チップもソフトウェアも製造できることが大きな強みになると指摘する。

自社製半導体の新型パソコン発表

IT大手アップルが、新型の半導体チップを搭載したパソコンを発表した。

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アップルは10月30日、新型のノートパソコン「MacBook Pro(マックブックプロ)」と、デスクトップパソコン「iMac(アイマック)」を発表した。

最新の自社製半導体チップ“M3シリーズ”を搭載し、処理性能が向上したほか、省電力化を実現した。バッテリーは最大22時間使用可能だ。

アップル ティム・クックCEO:
驚異的なパフォーマンスやバッテリー寿命など、前例のない機能を、驚くほどコンパクトなデザインで実現した。

MacBook Proの価格は、税込み24万8800円からで、日本では11月7日から発売される。

画像処理に強いGPUが高性能に

「Live News α」では、暮らしを変えるテクノロジーに詳しい、IoT NEWS代表・小泉耕二さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
今回の発表、いかがですか。

 IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
今回は新しいM3チップが搭載されたMac Book Proの発表がメインでした。M3では、3nm(ナノメートル)の微細化技術を採用していて、1つのチップに搭載されているトランジスタの数は、M3 Maxになると920億個となります。

堤 礼実 キャスター:
トランジスタの数が増えると、どうなるんですか?

 IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
一般的に、トランジスタの数は多ければ多いほど、処理が早くなります。

M3というチップには、演算をするCPUだけでなく、画像処理に強いGPUや、AI処理を行うニューラルエンジンなどがあり、特に画像処理などに使われるGPUの部分が高性能になったということで、2年ほど前に出たものと比べて同じ処理をするのに半分の消費電力で済んだり、ピークの時でも65%以上の性能を発揮すると発表しています。

堤 礼実 キャスター:
そのチップの特徴が生きる使い方として、どんなものがあるのでしょうか。

 IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
M3のMac Book Proは3機種発表されていますが、最上位機種だと、例えば、4K以上の映像を編集する人などにはとても良いと思います。高精細な表現をするゲームを作る人などにも、朗報だと言えます。

一方で、普通にオフィスツールやブラウザなどを使う分には、そこまでの機能は要らないのかなと思います。

アップルPC出荷台数は23%減

堤 礼実 キャスター:
新しいパソコンは、アップルの業績を底上げするものになるのでしょうか。

 IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
コロナ禍が一区切りして、パソコン業界では出荷台数が減少傾向で、主要メーカーの中では、アップルの減少幅が一番大きいです。第三四半期では、PC出荷台数が23%減少したと言われています。

今回の発表を見て、それほど画期的だと思うようなものではなかったので、これ自体が業績向上の起爆剤になることはないと思いますが、最近は様々なものにコンピューターが入っていたり、ネットワークとつながるようになっている中、アップルはチップもソフトウェアも製造できるので、中長期的にみれば、大きな強みとなるでしょう。

堤 礼実 キャスター:
スピード、そして省電力性が大幅に上がる一方、宝の持ち腐れになってしまうかもしれません。
誰もが使いやすい革新的な開発を期待したいですね。
(「Live News α」10月31日放送分より)

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