日本大学は31日、第三者委員会による調査報告書を公表した。
報告書は、林理事長、酒井学長、沢田副学長ら幹部の不適切な対応により「組織としてのガバナンスが機能しなかった」と厳しく指摘した。第三者委員会は、元名古屋高裁長官の綿引万里子弁護士ら3人の弁護士を委員としている。
第三者委員会の報告書によると、今年6月に警視庁からアメフト部の寮に大麻部屋があること、数名が大麻を使用しているなどの情報提供があった際、沢田副学長が酒井学長に「警視庁から秘密保持を徹底するよう指示されたので、この問題については、酒井学長と自分、競技スポーツ部で対応したい」と提案したという。酒井学長は提案を了承した。
このため、学内での危機管理の最高責任者である村井常務理事に大麻問題が報告されていなかったことが新たにわかった。
7月6日に大麻とみられる植物片が見つかった際も、酒井学長は村井常務理事に報告するよう指示せず、7月13日に沢田副学長から植物片について報告を受けた林理事長も村井常務理事と問題について情報共有をせず、「8月1日にネットニュースで報じられるまで、危機管理態勢が構築されなかった」という。
さらに、沢田副学長が、部員から大麻とみられる植物片が入った缶を預かり、12日間大学本部で保管を続けた事については、「世の中の常識、法律家の常識からも乖離した独自の判断基準の下で、得られた情報を自己に都合良く歪曲し、自らの対応を正当化し続けた結果、社会から本法人の隠蔽体質を疑わせ、本法人の信用を著しく失墜させた最大の原因であった」と厳しく批判した。12日間保管した判断については、「缶の中の植物片が鑑定で大麻と確定され、大麻所持で立件される可能性が低ければ大きな問題ではないという、誤った判断基準に基づいてされたものといえる」と断じた。
また、林真理子理事長についても、「誰の目から見ても社会的な常識から外れた行動についてさえ、自己正当化や責任回避の意識もあってか、林理事長も酒井学長も、沢田副学長の説明や見解をいわば鵜呑みにして、それを批判的に検証することもなく許容してきた」と指摘した。その上で「目先の責任追及やバッシングを割けるため、自己を正当化し、時には虚偽と評価される報道対応をし、何よりも、学生の健康を損ない、大学の基盤を揺るがしかねない大麻が拡散しているリスクにも目をつぶってきたと言わざるを得ない」と大学の危機管理体制を強く批判した。