2024年の福袋商戦が始まり、新型コロナの5類移行後、初めてのお正月に向け、楽しさを強調した福袋が登場している。
地域と笑顔をテーマにするなど、さまざまな特別な福袋が提供されており、コト消費”から進化した“トキ消費”と“地域密着”がミックスすることで、プレミアム感を強調するものが新しいトレンドの潮流となっている。

「楽しさ」追求した2024年福袋

早くも来年の福袋商戦がスタートする。新型コロナが5類に移行して最初となるお正月に向け、例年以上に、楽しさを打ち出した福袋がお披露目された。

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そごう・西武では、地域と笑顔をテーマに、西武鉄道の池袋駅で駅長体験ができる「西武鉄道福袋」(2万240円、税込み)や、千葉県の銚子電鉄の社長が、ダジャレを連発して案内する途中下車の旅「銚子電鉄福袋」(2万5250円、税込み)が登場した。

また、1ヶ月間、毎日一言占いが受けられる「占いサブスク福袋」を、年号にちなんで2024円(税込み)で販売する。

一方、松屋では、東京の新橋演舞場で行われる芸者踊りのチケットが入った「“文化”体験福袋」(3万8500円、税込み)や、銀座の老舗料理店の高級肉料理が楽しめる「“和・洋 肉料理”体験福袋」(6万3800円、税込み)が用意された。

松屋では、外出機会が減ったコロナ禍で衣料品の在庫を縮小したことから、衣料品の福袋が減っているという。

「トキ消費・地域密着」がトレンド

「Live News α」では、マーケティングアナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
今回の福袋は「楽しさ」を打ち出したものが多いということですが、いかがでしょうか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
従来型の福袋から進化し、まさに令和の福袋のスタンダードを形作る元年になりそうだ。
福袋はそもそも中身の分からないものだった。そこに在庫過多の商品を詰め合わせて、圧倒的なお得感を出したものが昭和からのスタンダードだった。
それが平成に入り、ブランドショップが中身も分かる福袋で専用商品などを販売し、百貨店の初売りでは大行列になるのが、正月の風物詩となっていった。
そして、今回の福袋は“コト消費”から進化した“トキ消費”と“地域密着”がミックスすることで、プレミアム感を強調するものが新しいトレンドの潮流となっている。
体験型の“コト消費”から進化した“トキ消費”は「その時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ消費」と定義されている

堤 礼実 キャスター:
具体的には、どういったものがあるんでしょうか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
例えば、高島屋横浜店限定の「横浜DeNAベイスターズ応援!福袋」は、地元・横浜スタジアムの「バックヤードツアー」「ツアー当日のオープン戦の観戦」などという、まさに地域性を加味したものになっている。
こうした福袋の企画には、百貨店の強みである目利きのバイヤーによるセレクトや、幅広い取引先との協業によって実現され、人々をひきつけるバラエティ豊かな福袋になっている

「福袋で幸先よく」百貨店の想い

堤 礼実 キャスター:
福袋は、ずいぶんと変わってきているんですね

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
コロナウィルス感染の拡大をきっかけに、百貨店の福袋商戦のメインはリアル店舗からネット通販に移ってしまった感がある。
それでも百貨店にとって福袋は、1年の商売繁盛を占う一大商戦であり、福袋を集客の目玉にして、初売りで幸先のよいスタートにしたいという思いは今も強い。
そもそも小売としての百貨店の価値は、プレミアムな非日常感が演出されている中で買い物を楽しめること。
これからの百貨店ビジネスでは、デパ地下と、富裕層向けの外商、インバウンド、更に来店のきっかけになる福袋などの季節性の高いイベントが成長のカギになりそう

堤 礼実 キャスター:
中身がわからないドキドキ感のある福袋、欲しいものをお得に手に入れることができる福袋、さらには福袋という機会を利用した特別な体験、いろいろな種類のものがありますから、どんなものがあるか調べてみるのも楽しそうですね
(「Live News α」10月24日放送分より)

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