山形・西川町で空き家を利活用するプロジェクトが進んでいる。食堂などに再生させ、町民だけでなく、町の外から来た人も集える場所を増やしていくねらいがある。
築180年の古民家が新たな一歩
多くの空き家を抱える西川町は2022年9月、空き家の利活用を通して地域活性化に取り組む東京の企業・CASEと協定を結んだ。

CASEは町内にある12軒の空き家を確保し、地域おこし協力隊などが改修を進めてきた。これまでは隊員の住居などにしていたが、今回2軒を町民が利用できる場所としてオープンさせた。

その一つが、地域の人が食を通じて集う「じもと食堂」。約7年間空き家となっていた西川町間沢にある築180年の古民家を“食堂”として生まれ変わらせたのだ。

中に入ると温かみがあり、きれいにリノベーションされている。照明はおしゃれなものに付け替えたが、家具などはそのままで、かつての雰囲気を生かした。

訪れた客は「小さい時にこういう古い建物に住んでいたから、すごく懐かしい感じ。茅葺の屋根で、雰囲気がよみがえって、若くなった感じ」と笑顔を見せた。
「この場所はどうなっていくだろう?」
運営するのも、もちろん隊員たち。キッチンをのぞくと、隊員たちがランチを作っていた。

西川町地域おこし協力隊・渡邉健二さん:
公開できるようなキッチンではないけど…壁に板を全部貼らないと営業できないくらいの状態だった

この日用意したのは、発酵タマネギを入れたハンバーグなど地元の食材をふんだんに使ったランチ。手作りのドーナツとコーヒーを付けて800円で提供した。

この場所をきっかけににぎわいを取り戻したい。隊員だけでなく、町の人の思いも一緒のようだ。「仲間で集まって散歩がてらに来て寄って、軽食を食べながら話ができたらいいね。家にばかりこもらないで」「これからこの場所はどうなっていくだろう?」などと、集まった人が期待を寄せる。

西川町地域おこし協力隊・渡邉健二さん:
いろいろな料理好きの人がいるので、そういう人とコラボして、シェアキッチンのような感じでここでイベントをやってみたいとか、食事を提供したいという人にもひらけるような…

この家で生まれ育った池上久仁子さん:
父・母は人の出入りを好んでいた。いろいろな人に集まってもらえるのは何より。ぜひ広めてもらいたい。定着させてほしい
移住検討者のお試し住宅などにも
もう1軒の空き家は、移住を検討している人の「お試し住居」と仕事場としても使える「フリースペース」に再生した。

気軽に立ち寄れる場所になるようにと「ヨリドコロ・トンボ」と名付けた。
西川町地域おこし協力隊・渡邉健二さん:
いろいろな人が交流しながら、ここで始まる出来事やイベントなど、ここから発信して地域を活性化させるという意気込みでがんばりたい
「じもと食堂」は月に2~3回の営業。「ヨリドコロ・トンボ」では音楽イベントなどの開催も予定している。
(さくらんぼテレビ)