新たなコメの取り引きが始まった。

事業者向けにオークション形式・注文方式(買い手からのオーダー形式)でコメの売買ができるオンラインマーケット「みらい米市場」が16日、取り引きを開始した。食用の玄米の取り引きを対象にしていて、シンクタンクの流通経済研究所のほか、大手コメ卸の神明、東京商品取引所などが出資している。

現在、コメの価格はJA(農業協同組合)などの集荷業者と卸売業者が話し合って決めるのが主な価格形成で、価格の指標となるような市場がなく、透明性が足りないと指摘されてきた。

透明性の高い取り引きにむけて「みらい米市場」は、コメの価格を需要と供給に基づいて決める「現物市場」である。コメの売り手には農家や農協、買い手には外食企業やスーパーを想定する。一般の買い手は想定していないが、ホームページから誰でも市場を見ることは可能だ。生産者が自分で価格を決めて販売できる上、品質や付加価値、生産履歴、生産者の情報も開示できることなどから、生産者の努力や品質を反映した価格の形成になることが期待できる。

単純な需給だけではなく、それぞれのコメの特性から適正な価格がつけられることは生産者、そして消費者にも納得のいく価格システムとなり、1つの価格形成のモデルになるかもしれない。

コメの現物市場では、「みらい米市場」に続いて、農業法人の「ぶった農産」と「田仲農場」が共同で、「グリーンテックマーケット」と称したコメの現物市場の取り引きを12月にも始めると発表している。

現物市場の相次ぐ開設で、コメの価格の透明性をどこまで高められるかが今後の課題となる。

(※画像は「みらい米市場」HPより)

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