再生可能エネルギーの貢献を証明する「非化石証書」の取引・決済を、デジタル上で完結するサービスが始まる。
官民協力の成果で、「環境価値」のデジタル化による日本のデジタル通貨の実用性と、環境への配慮を高める一環としている。

「環境価値」をデジタルの世界へ

企業が環境に貢献した場合、それを証明する証書の取引・決済を、デジタルの世界で完結させるサービスがスタートする。

この記事の画像(14枚)

今回のサービスは、再生可能エネルギーの電力が使われるデータセンターを利用した企業が、環境に貢献したことを示すデジタル証書の購入に、デジタル通貨を利用するというもの。

これまでは、使った電気が化石燃料由来でないことを証明する「非化石証書」は紙で取引されてきたが、デジタル上で決済まで完結できるようになるという。

インターネットイニシアティブ・山井美和 常務執行役員:
“J-クレジット市場”も立ち上がってるという中で考えると、様々な取引をする環境が、これから整備されていくであろう。制度が複雑で変わることがあるので、その辺は見極めながら進めたい

2024年7月のサービス開始を目指していて、業界の垣根を越えたDXの実現に貢献したいとしている。

手数料・手間削減でシンプルに

「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
このデジタル通貨、どういうものなんでしょうか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
デジタル通貨とは、文字通り「お金をデジタル化」させることです。具体的には「銀行預金のデジタル化」です。
今、広く利用されているネットバンキングもデジタル化されていますが、銀行が提携している機能の範囲しか使えません。クレジットカードもデジタル化されていますが、先にカード会社が立て替えて支払い、後から個人口座から引き落としています。これだと1回の取引で、2回の手間とコストがかかっています。
今回のDCJPYは、銀行預金を直接動かすことで、やり取りをシンプルにスムーズにしたいというのが、根底にあります

堤 礼実 キャスター:
随分とメリットがありそうですね

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
銀行預金をデジタル化することで、決済サービスはリアルタイムにお金が動かせるようになります。ようするに、送金手数料を安く抑えることができます。
しかも、事務作業の手間を省くことができます。例えば、請求書の発行をしなくても、物が届いたら支払を完了できたり、売掛債権を管理する手間なども削減できます。また、今は振り込みをしても、土日を挟むと時間がかかることがあまりますよね。デジタル通過の着金は数秒で完了できます

小売業界も巻き込みより便利

堤 礼実 キャスター:
デジタルの力で、金融の世界も大きく変わっていくようですね

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
今回の試みは、官民が協力して日本におけるデジタル通貨の実用性を検討する「デジタル通貨フォーラム」が進める事業の第一弾となります。
さらに、ちょうど11日、カーボンクレジット市場が日本でもスタートしました。
デジタル通貨を利用すれば、使っている電気が化石燃料由来でないことを証明できたり、脱炭素社会において、環境価値の決済にも使えます。
大手企業と大手金融が動き出したわけですが、これから小売り業界なども巻き込みながら、利用シーンが増えていくことが想定されます。それによって、私たちの生活がより便利に進んでいきそうです

堤 礼実 キャスター:
こういった技術の活用により、信頼性を確保した上で、より効率的な日本の金融インフラへとつながっていくことを期待したいですね
(「Live News α」10月12日放送分より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(14枚)