今年、猛暑の影響で“スズメバチ”の巣が巨大化、凶暴性も増しているといいます。

「めざまし8」は、「みどり産業」のスズメバチハンター・松原暢明さんと共に、駆除の現場を取材。異常気象により起きているスズメバチの“異変”に迫りました。

軒下に巨大な“キイロスズメバチの巣”

やってきたのは、千葉・野田市。閑静な住宅街の一角にある一軒家です。

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依頼主に巣の場所に案内してもらうと、軒下に巨大な“球体の巣”ができていました。

軒下にできた巨大なハチの巣
軒下にできた巨大なハチの巣

スズメバチハンター・松原暢明さん:
これは、キイロスズメバチですね。大きいですね結構。

キイロスズメバチは、凶暴な性格が特徴で、怒ると一斉に攻撃し、刺された場合、命の危険もあるといいます。

依頼主:
うちの娘婿が、ドアを閉めたら、刺されたのさ。

ハチに刺された右手が大きく腫れ上がっている
ハチに刺された右手が大きく腫れ上がっている

実際に刺された右手の写真を見せてもらうと、手は赤くパンパンに腫れ上がっています。腫れは1週間ほどひかなかったそうです。

掃除機をセットするハンター
掃除機をセットするハンター

早速、駆除作業に取りかかるハンター。取り出したのは…掃除機です!

巣の周りのハチを吸い込んでいく
巣の周りのハチを吸い込んでいく

脚立にのぼり、巣の回りを飛び回るスズメバチを吸引し始めました。

巣から飛び出しハンターに襲いかかるハチたち
巣から飛び出しハンターに襲いかかるハチたち

すると、巣から無数のスズメバチが出てきて、ハンターを襲撃します。

格闘すること20分。捕まえたハチは400匹以上に。その後、のこぎりで巣を切り離し、袋に入れて作業は終了。

7段にも重なった巨大なキイロスズメバチの巣。これにはハンターも「実際やっぱり大きいですね、とってみると。びっくりした」と驚きを隠せません。

小学校近くに400匹を超える“オオスズメバチ” 

めざまし8の取材班と、松原さんが次に向かったのは、埼玉・春日部市。

運動会を控えた小学校の校庭に隣接する駐車場に、スズメバチの巣があるというのです。

スズメバチハンター・松原暢明さん
スズメバチハンター・松原暢明さん

スズメバチハンター・松原暢明さん:
あ、今飛んだ!やっぱ“オオスズ”ですね。オオスズメですね。大きいですね。

巣の主は、“世界最大”で“最凶”と言われる、オオスズメバチ。

オオスズメバチは四方八方に飛び回り、掃除機では吸いきれないため、網を使って駆除するといいます。

準備を整え、茂みへと踏み込んでいきますが、肝心の巣がなかなか見つかりません。

スズメバチハンター・松原暢明さん:
あれ?ハチの気配を感じないね…。
あ、出てきた!あっちだ!え?あった…!うろ(木の穴)の中だ!

木の幹にできた穴の中にオオスズメバチの巣を発見
木の幹にできた穴の中にオオスズメバチの巣を発見

ハチが出てきた方向を探してみると、木の幹にできた穴の中に巣を発見!穴をよく見てみると、4cmほどの巨大なオオスズメバチが出入りしています。

スズメバチハンター・松原暢明さん:
これ(網)をあの穴に目がけてかぶせる。そしたらハチが出にくいじゃない?

巣穴に網をかぶせ、出てきたハチを捕まえる作戦に出ます。網をしかけた瞬間、「ブオンブオン」と大きな羽音が。

戻りバチたちを網で捕獲する
戻りバチたちを網で捕獲する

異常事態を察知したのか、巣に戻ってきた“戻りバチ”たちが、容赦なくハンターに襲いかかってきました。

スズメバチハンター・松原暢明さん:
適当にやってこんな感じですよ。これが世界最強のオオスズメバチですよ。

30分間オオスズメバチを捕獲し続け、ようやくあたりは静かになりました。

ここでハンターは、秘密兵器の“発煙筒”を取り出します。

巣穴に煙を充満させることでスズメバチを弱らせ、その隙に巣を取り出すというのです。

発煙筒から勢いよく吹き出す煙
発煙筒から勢いよく吹き出す煙

発煙筒に着火して、勢いよく吹き出した煙を巣穴に突っ込みます。

スズメバチハンター・松原暢明さん:
ほらまだ出てくるでしょ?でも元気ないでしょ?煙が効いているんですよね。

煙によってようやく弱り始めたオオスズメバチ。後はチェンソーで切って巣を取り出すだけです。

木の幹の中にできた巣
木の幹の中にできた巣

スズメバチハンター・松原暢明さん:
1、2、3、4、5、6、7、8段!

合わせて8段、直径40cmにも及ぶ巨大な巣を取り出すことができました。

ハンターによると、そこには400匹を超えるオオスズメバチがいたといいます。

増加するスズメバチ被害

秋の行楽シーズンに入り、増加しているスズメバチの被害。

10月8日の正午ごろ、岐阜・高山市で行われた登山道などを走るトレイルランのイベントでは、参加していたランナー42人が、キイロスズメバチの大群に襲われました。

刺された42人のうち、男性3人が体調不良を訴え入院。

大会実行委員長の森本文夫さんによると、過去4回の大会では、一度も選手がハチに襲われるということはなかったといいます。

大会実行委員長 森本文夫さん:
何人かの人は、(スズメバチが)塊になって向かってきたっていうことを言ってみえたんで。何百という数だと思いますね。ハチは今まで過去になかったもんですから。

また、千葉・館山市では10月3日、ハチの駆除業者がオオスズメバチに刺され、死亡しました。

“異常気象”で巣が巨大化・ハチの個体数も増加

いったいなぜ、今の時期にスズメバチに襲われるケースが増えているのでしょうか?専門家は、ハチの凶暴化や巣の巨大化に、今年の「異常気象」が深く関わっていると指摘します。

スズメバチ研究者 中村雅雄氏:
“異常気象”がすごかったので、2週間ほど早く巣作りが始まったんですよね。当然、早く巣ができたということは、大きく発達するという要因になります。

例年は、4月下旬から巣作りを始めるというスズメバチですが、今年は暖かくなる時期が早かったため、巣作りも早く始まり、巣自体も、より大きくなったといいます。

巣が大きくなったことで、ハチの個体数も急激に増加。

さらに、暑さが長引いたため、働きバチなどの活動自体は停滞し、活発に動くピークが、10月にずれこんだというのです。

――今の時期というのはどういう状況なのでしょうか?
スズメバチ研究者 中村雅雄氏:

新しい女王バチを育てたりとかしている時期になります。そうなると、緊張状態が増してきていることになります。(キイロスズメバチの場合)例えば5mぐらい近づいても、偵察部隊のハチがどんどん飛んでくるという状態になります。

――ハチと遭遇した場合、どのような行動を取れば良いのでしょうか?
歩いていてハチが近づいてくる分には、払ったりしないでその場から、ちょっと姿勢を低くして、後ずさりするなどの対処の仕方ができるかと思います。
一つ大事なことは、万が一ということがあるので、帽子とかそれから長袖長ズボン。(服装も)白っぽいものを着用するというのが原則になりますね。

(めざまし8 10月12日放送)