パレスチナ自治区のガザを実効支配するイスラム組織「ハマス」によるイスラエルへの攻撃と、それに対するイスラエル軍の報復。
地元メディアによると、双方の死者は1500人を超えたといいます。さらに…。
イスラエル人の女性:
いやだ!いやだ!
ハマスのメンバー:
歩け!歩け!
パレスチナ自治区ガザとの境界付近で屈強な男たちに拉致され、助けを求めるイスラエル人の女性。伸ばした手の先には…同じく拘束された夫の姿が。
別の動画には…。
ハマスのメンバー:
神よ!偉大なれ!
手を縛られた女性が、髪の毛をつかまれて車に乗せられる場面も。
女性など一般市民を次々と連れ去っているのは…イスラム組織「ハマス」です。
地元メディアは、「ハマス」がイスラエル側の兵士や市民、100人以上を人質として連れ去ったと伝えています。またハマス側は、軍が無警告で攻撃するたびに人質を殺害していくと警告したということです。
今回、ハマスがイスラエルに攻撃を行った発端の1つとされるのは、今年4月、エルサレムにあるイスラム教、ユダヤ教、双方が聖地としているモスクでの衝突。
海外メディアによると、イスラエル警察がラマダンのため、モスクで夜を明かそうとしていたパレスチナ人350人以上を逮捕し、モスクから排除したといいます。
ハマス側は、イスラムの聖地であるモスクがイスラエル人に脅かされていることが攻撃の理由だと主張。
さらに、ハマス幹部は、10月7日に攻撃を開始した理由について、1973年の第四次中東戦争開始から50年の節目で「祝祭に気を取られている時期」を狙ったとしています。
アメリカのオースティン国防長官は声明を出し、最新鋭の原子力空母「ジェラルド・フォード」を中核とする空母打撃群を派遣すると発表しました。
イラン出身サヘル・ローズ氏「本当につらい…」
めざまし8のスタジオでは、中東のイラン出身のサヘル・ローズ氏が、今回のパレスチナ情勢の事態に声を震わせながら今の思いを語ります。
――この終わらない負の連鎖どう思いますか?
サヘル・ローズ氏:
言葉が詰まるというか…本当につらい。この映像を見ていても、今この時代に起きていることは…この地域は常に歴史の中で見ても、常に常になんですよね、報復の繰り返しって。報復は誰が受けているかというと一般市民です。街が破壊されて、これが何の報復なの? 人々が殺されてしまって、生き延びた子供たちが次に持ってしまうのは武器であって、復讐(ふくしゅう)になってしまう…。負の連鎖、憎しみの連鎖がずっと続いてしまうことが、戦争を終わらせていないことが見ていて苦しくなりますし、本当に世界が声を全体的に上げて、犠牲をこれ以上出さないようにと望むしかできない…そう思います。
9日、国連の会合に先立ちまして、両国の大使が、こう発言しました。
イスラエル エルダン国連大使:
これはイスラエルにとっての9.11だ。今こそ、ハマスの軍事拠点を破壊すべきだ。今回のようなテロが二度と起こらないよう消し去らなければならない。
パレスチナ マンスール国連大使:
イスラエルの占領政策が根本的な原因だ。イスラエルに恐ろしい(報復攻撃という)選択をさせるべきではない。パレスチナ人もイスラエル人も殺されない和平の道がある。
立岩陽一郎氏「日本は大きな役割を担うことができる」
双方の主張に、めざまし8出演者のジャーナリスト・立岩陽一郎氏は…
ジャーナリスト 立岩陽一郎氏:
双方に双方なりの理屈はあるんですよ。パレスチナが割と傍観者のようなコメントをしているけど、ハマスとパレスチナはイコールではない。ハマスはイスラム原理主義に基づく軍事組織ですから、実はパレスチナも手を焼いているという実態はある。
われわれ、このニュースを見ると、ハマス、パレスチナ側がいきなりイスラエルを攻撃したように見えるけど、この1年間を見ても、イスラエル側がパレスチナに対して攻撃をしていることもあるんですよ。
ジャーナリスト 立岩陽一郎氏:
中東問題って、私もイランにいた時代から(NHK時代に中東勤務)、どの段階がものごとの始まりかなんてなかなか分からない。
よく言うのは、中東問題は糸玉を地面に落としたようなものだと。地面に落とした糸玉を拾いますよね、元に戻そうとすると、いろいろなところがほつれるんですよ。1つほつれを直すと、違うところがほつれるんですよ。でも、ほつれを直すしかないんです。アメリカがこの地域に力を持って何をやったのかというと、ほつれを直さないで固めちゃったんですよ。今回アメリカは何をやったかというと、イスラエルを支持して航空母艦を派遣したんですよ。こういうやり方で中東問題は解決しない。
でも、希望がないわけではなくて、30年前に何があったか、パレスチナとイスラエルの和平合意があったんです。やはりそこに戻るしかない。パレスチナもイスラエルも認めましょう、そのための議論をしましょうというのが、こうなってしまった。
ジャーナリスト 立岩陽一郎氏:
実は、日本は大きな役割をできるんです。日本の外交、中東外交っていうのは、アメリカに何を言われようがパレスチナの人権を非常に重視してきて、例えばアメリカが敵視しているイランとも強いパイプを持ってきた。
日本はものすごく大きな外交的な役割を担うことができるんだと、皆さん知ってもらって、日本の政府に頑張ってもらいたい。
とにかく、関心を持ってもらいたい。中東への関心が低いんですよね。日本は利害関係がないからこそ、イニシアティブを取れる立場にいるということを、ぜひわれわれは今、考えたい。
サヘル・ローズ氏:
イランの人からすると日本が間に入ってくれてできる対話、戦いではなくて対話をする席があることが必要。最近、日本の立ち位置が揺らいでいて会話ができていない。でも頼みの綱ではあります。
中東の場合「このエリアっていつもそうだよね」という目で見られていることがすごく苦しくて、ここに住んでいる人は、直接的な被害がなくても、食べ物が減り、物価が上がり、欧米との距離感ができていって、あらゆる戦争が起きてくる…、この戦争の火種って遠い国の出来事ではなく、後に日本にも関わりがある。関心を持ってくれることで変わることはある。無関心ではなく関心を持ってほしい。
(めざまし8 10月10日放送)