世界の感染者数が1000万人を超えた。
第二波への危機感が高まる中、世界の人々の「働き方」はどう変わったのか。
世界中で取材を続ける各国のFNN特派員が、世界8ヶ国11都市の今をリポートする。

各国の感染者数を緑で表示(7月3日午前11時現在)

▼トルコ:202,284人

イスタンブール清水です。
ボスポラス海峡のアジア側とヨーロッパ側を結ぶこちらの市営フェリー、午前10時から午後4時までなら5クルシュ、日本円でなんと1円未満(=80銭)で乗れるんです。海上移動によって交通機関の「密」を減らすコロナ対策の一環で、時差出勤の促進にも一役買っています。爽やかな夏の季節、外の席で外気に触れながら気持ちよく移動でき、市民の反応も上々です。

「密」を避けるためのコロナ対策 1円未満で乗れるフェリー
「密」を避けるためのコロナ対策 1円未満で乗れるフェリー
この記事の画像(5枚)

▼イギリス:285,266人

ロンドンの立石です。
公共のレンタル自転車ステーションに来ています。コロナによる外出制限が出て以後、利用者が急増していて、5月は貸出件数が112万件で過去最高を記録。ロンドン市は台数を増やす計画です。実際に乗ってみますと開放感があり気持ちよく、「密」になりやすい電車やバスを避け、自転車通勤に切り替える人が今後増えそうです。

レンタル自転車を利用する人が急増
レンタル自転車を利用する人が急増

▼フランス:203,640人

パリの石井です。
フランスでは、外出制限解除後もテレワークを続けたいと答える人が40%に上っています。一方で、続けたいと答えた人のうち80%の人は、週に2回程度と答えていて、人との直接的なつながりも求めたい考えが見てとれます。まもなくフランスの人たちにとって欠かせないバカンスシーズンになりますが、ことしは新型コロナ対策に配慮しながらどのようなバカンスを過ごすのか注目されます。

▼ロシア:660,231人

モスクワの関根です。
新型コロナウイルスの感染拡大が続いているロシアでは、テレワークをする人が4月と比べて30倍のおよそ200万人にまで増えています。こちらの証券取引所も7月末までテレワークを延長し、建物の中に従業員の姿は、ほとんどありません。ロシア政府はテレワーカーの権利を保護する法律を作ろうとしていて、新しい生活様式に合わせた働き方は、これからも広がりそうです。

テレワークをする人が200万人となったロシア この証券取引所も人の姿はない
テレワークをする人が200万人となったロシア この証券取引所も人の姿はない

▼中国:84,825人

北京の高橋です。
今、朝の出勤時間ですがこちらのビルで働く人たちは入り口でそれぞれスマホ画面に健康コードを示し、入館のチェックを受けています。健康コードは移動履歴や居住地からの情報などを基に隔離状態にないことを証明するものです。今や北京ではどこに出かけるにも、この健康コードが必須です。6月に感染が再発してもこれを予防措置として使い、出勤する人たちが多く見られます。

上海の城戸です。
入口には”柔軟な雇用の未来を作ろう”と書いています。この人材会社では人が余った会社の社員が別の会社で働く従業員シェアの仲介をしました。このような柔軟な雇用、例えば2つの会社を1日や週ごとに掛け持ちする、などフルタイムにこだわらないスタイルは企業も経費削減や雇用維持の面で重視していて今後様々に広がると見ています。新型コロナは中国でも働き方の大変革をもたらしそうです。

オフィスの入り口には「柔軟な雇用の未来を作ろう」とのスローガンが
オフィスの入り口には「柔軟な雇用の未来を作ろう」とのスローガンが

▼タイ:3,179 人

バンコクの武田です。
タイでは7月1日から学校が再開されましたが、コロナ対策で教員の働き方が問題となっています。こちらの学校では、感染予防対策として1クラスの人数が20人以下に制限されたことにより、クラスが増えました。受け持ちのクラスが増えたことで、教員の負担が大きくなり、残業時間が増える傾向にあります。日本と同様、授業以外の業務も多く、どうすれば教員の負担を減らせるのかが、課題となっています。

▼韓国:12,904人

ソウル熱海です。
韓国では感染者が急増した2月以降、テレワークを導入した企業が一時全体の34%に上りました。しかし、「対面せずに業務をするのは難しい」ということで、現在もテレワークを続ける企業はわずか7%に減少しました。ソウルの感染者は、東京の5分の1ほどの累計1300人余りに留まっていることもあって、働き方を変えようという切迫感が薄いのが理由かもしれません。

▼アメリカ:2,735,554人

ロサンゼルスの益野です。
とうとう恐れていた事態になってしまいました。カリフォルニア州では連日、数千人単位で感染者が増え続け、レストランなどの屋内での営業が再び禁止になりました。大幅な制限緩和からおよそ1カ月、街に活気が戻ったのもつかの間、また一歩後退です。当局は、改めてマスクの着用を呼び掛けるなど、地道に続けるしかないコロナ対策の難しさを突き付けられています。

ワシントンの藤田です。
公の場でのマスク着用を拒んできたトランプ大統領ですが、態度を一変、「マスクは大賛成」と発言しました。アメリカでは一日の新規感染者が5万人を超え、過去最多を記録。最新の世論調査では89%の人が「公の場でマスクを着用する」と答えていて、マスクを着けない大統領への批判が高まっていました。支持率の低迷も報じられ、方針転換を迫られた形です。

ニューヨークの新庄です。
観光名所になっているこちら、ニューヨーク公共図書館もやっと利用が再開される予定です。経済再開のステップを順調に進んできたニューヨークですが、全米での感染拡大に歯止めがかからないためレストランの屋内営業にはストップがかかりました。クオモ知事は、「これまでのニューヨーカーの努力を無にするな」と改めてマスクの着用など感染防止を呼びかけています。

(各国の感染者数はジョンズホプキンズ大学調べ)

【取材:国際取材部海外特派員班】

国際取材部
国際取材部



世界では今何が起きているのか――ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、パリ、モスクワ、イスタンブール、北京、上海、ソウル、バンコクのFNN11支局を拠点に、国際情勢や各国の事件・事故、政治、経済、社会問題から文化・エンタメまで海外の最新ニュースをお届けします。