10月26日は「デニムの日」。10と26、英語のten=デ(10)、ニ(2)、ム(6)と読む語呂合わせから、岡山県倉敷市児島の児島ジーンズストリート推進協議会が制定した。
そんなデニムについて考えたとき、みなさんは「ジーンズ」のポケットにあるさらに“小さいポケット”を何に使っているだろうか?
筆者は、年に数回リップクリームや鍵など、小さい物を入れるときに使うことがあるが、何用のポケットなのか正解が分かっていなかった。

ネットでは、「ジーンズのこのポケットを見ると、iPod nano発表の時のジョブズを思い出して懐かしくなるんだよな」という投稿もあり、そんな思い出がある人もいるかもしれない。
Appleの共同創業者の1人であるスティーブ・ジョブズ氏が2005年の製品発表の際、この小さいポケットについて「iPod nanoのためにあるのさ」と言っていたのだ。

しかし、iPod nanoやリップクリームを入れるためのポケットというわけではないだろう。では、実際は何を入れるためのポケットなのだろうか。
もともと懐中時計を入れるため
この疑問について、「倉敷デニム」で有名なデニムの発祥地、倉敷市児島に本社を置き、1960年代、日本で初めてデニムを独自製造したジーンズなどを製造する株式会社ビッグジョンの担当者に話を聞いた。
ーー“小さいポケット”はどうして付いているの?
もともと懐中時計を入れるためにつけられました。懐中時計を入れるためのものでしたが、現在は人それぞれと思います。切符、ZIPPO、小銭など。

ーーポケットに名前はある?
ウォッチポケット、コインポケット、時計落としなどありますが、メーカーによっても別の呼称があるかもしれません。社内では、年配者は「時計落とし」、他は「コインポケット」と呼んでいます。
ーーいつから付いていたの?
いつからかの特定は、私はできませんが、ジーンズがアメリカの鉱山ではかれていた時にはついていたと思います。

ーー社内で、使っている人はいる?
使っている人を見たことはないです笑。たばこを吸う人が激減(電子たばこへの移行など)して、ZIPPOを持つ人が少なくなりました。昔は、ZIPPOを入れている人がいましたね。
伝統の“5ポケットパンツ”を維持
ーー懐中時計を使用する人は少ないけど、どうして現在も付いているの?
ジーンズ=5ポケットパンツという伝統を守っていると思います。
ーー時代の変化に合わせて“小さいポケット”も変化している?
特に変化はないと思います。「ジーンズ=5ポケットパンツ」という伝統を守っていると思います。弊社では「ごぽけ」と呼んだりします。
※ジーンズ=5ポケットパンツ…前2つ、後ろ2つ、小さいポケット1つ合計5つのポケットがあるという意味。

ーー大きさは決まっているの?
決まりはありません。シルエットやサイズ、企画意図によって異なると思います。シルエットや全体のバランスで大きさを変更しています。ポケットの口が大きく開いている製品は、そのバランスに合わせて大きくしたりします。アメカジテイストの強い製品は、大きい傾向にあると思います。
ーーおすすめの使い方を教えて
見たことはないのですが、AirPodsの大きさがちょうど良さそうだなと思いました。

本来は「懐中時計用」だった小さいポケット。時代が変わり、懐中時計は少数となったが、コイン、ZIPPO、AirPodsなど、使い方は人それぞれ。ジーンズ=5ポケットパンツの一部として、新しい生活スタイルに動じることなく伝統を守っていた。