栃木県の那須御用邸で静養されている天皇皇后両陛下と愛子さま。

野球好きで知られるご一家は、4年ぶりに訪れた那須で、連日熱闘が続く高校野球に寄せる温かい思いと、とっておきのエピソードを明かされた。
「ハイキング、散歩、バレーボールも」 スポーツ好きの愛子さま
21日午後6時頃、那須御用邸の中でも標高の高い嚶鳴亭(おうめいてい)の近くを散策されたご一家。
植物の宝庫である那須の野は、オミナエシなど秋の花もすでに咲き始めている。

皇后さまが「東京から来ると本当に涼しいてすね」と感想を述べられる程、涼しさを感じる。ご一家は楽しそうに植物を眺め、記者の取材に応じられた。

コロナ禍で大学生活を送り、今年4月からようやく通学を始められた愛子さま。夏休みの静養は大学4年生のこの夏が初めてだ。
那須で何をして過ごされるのか記者が尋ねると「豊かな自然に触れながら、リフレッシュできれば」と話した後で、滞在中に「ハイキング、散歩、バレーボール」など運動もしたいと笑顔を見せられた。
”高校野球推し”のご一家 愛子さま「珍しく近畿勢が残っていなくて」
さらに話題は、この日準決勝が行われ、「エンジョイ・ベースボール」で107年ぶりの日本一を目指す慶応義塾高校と、去年の夏の覇者・仙台育英が決勝に勝ち進んだ高校野球に及んだ。
両陛下は子ども時代から野球がお好きで、陛下は巨人軍の末次利光選手が憧れだった。皇后さまは高田繁選手のファンで、高校時代には多摩川河川敷のグラウンドに通われたほどだ。
皇后さま「愛子も野球大好きです。特に高校野球」

そう、一人娘の愛子さまも、幼いころから筋金入りの野球好きで、プロ野球や学習院の試合の応援で神宮球場に通われたこともある。
毎年夏にはご家族で甲子園の行方を見守られる、いわばご一家揃っての”高校野球推し”なのだ。
愛子さま「今大会は珍しく近畿勢が残っていなくて」
高校野球ウォッチャーならではの発言も飛び出した。
陛下も緊張された甲子園の始球式
両陛下は2018年8月、阪神甲子園球場を訪れ、第100回記念大会の開会式にご出席。
陛下は炎天下、全国から集まった高校球児らの体調を気遣い、エールを送られた。

「今日までの練習の成果を十分に発揮し、力の限りプレーすることを期待しています。
同時に、暑いさなかの試合となりますので、プレーする選手の皆さんも、応援する方々も、くれぐれも体調の管理には気を付けてください」
このあと、ご夫妻は星稜高校(石川)OBで、元メジャーリーガーの松井秀喜さんによる始球式と、第一試合を観戦された。
実は陛下ご自身も1988年、浩宮時代に第70回大会で始球式を経験されている。

美しいフォームで投じた一球を「すごく良い思い出です」と振り返り、意外なエピソードを明かされた。
陛下「あれは常総学院(茨城)。仁志選手(元巨人軍)でしたね。仁志さんがバッターで投げたんですが、ワンバウンドでした。すごく緊張しました」
皇后さま「意外とマウンドが高く感じるって」
陛下「とてもマウンドが高く感じるんです」
皇后さま「で、高く感じるから下に投げたらバウンドしちゃった」
このやりとりに、ご一家も報道陣も笑いに包まれた。

両陛下の記憶力、しかも陛下の結婚以前の思い出話を皇后さまがよく覚えていて、どんどん会話が弾んでいくことに驚き、様々な話題を共有されているお二人の仲の良さが改めて感じられた。

さらに陛下はこんなユーモアあふれる発言を加えられ、笑いの輪がさらに広がった。
陛下「100回大会の時の松井秀喜さんもワンバウンドだったんです」
全力プレーのすがすがしさ 愛子さま「いつか観戦出来たらうれしいです」
次から次へと思い出話に花が咲いていくご様子から、ご一家の”高校野球推し”がひしひしと伝わってきた。

陛下「良いプレーもたくさん見られて。本当に全力で野球に取り組んでいる姿は見ていて、本当にすがすがしくて良いなと思います」
皇后さま「本当に最後まで分からない。ドラマチックな」
陛下「今回もそうですよね」
この夏は猛暑に加え、台風の影響も直撃。試合が順延したり、一部の応援団が甲子園に来られないなど、選手も応援する側も様々な困難を乗り越え、全力プレーや劇的な試合展開が続いていて、多くの人が注目し、声援を送っている。
ご一家もまた、夏の風物詩である甲子園の状況を毎日見守り、球児たちのすがすがしい姿を心から応援されている。

ご両親の思い出話に楽しそうに耳を傾けられていた愛子さま。
「いつか甲子園に観に行かれたらいいですね」とお尋ねすると、「いつか、機会があったらうれしいです」と笑顔を見せられた。
高校野球ウォッチャーの愛子さまにも、いつか甲子園で観戦が叶い、球児たちの躍動する姿や大歓声を現場で体感される日がくることを願っている。
(フジテレビ社会部・宮内庁担当 宮﨑千歳)