厳しい暑さが続く中、熱中症対策はできているだろうか?

日中はこまめに水分を摂ったり、エアコンをつけたりと対策をしている人も多いだろうが、大手浄水器メーカーであるBRITA Japan株式会社が「夜の熱中症」についての調査を実施。

その結果、約6割が「夏の就寝中や起床時に、いわゆる熱中症と同じ・または似た症状を感じた」ことがあることがわかった。調査は7月7日~7月10日、全国の20代〜60代の男女計634人を対象に、インターネットで行われた。

なお「熱中症と同じ・または似た症状」の中には、「筋肉がつる」「倦怠感」「頭痛」「めまい」などが含まれるとしている。

(BRITA Japan調べ)
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調査によると、これらの症状を「夏の就寝中や起床時に感じたことがある」とした人は全体の63.4%。具体的な症状については複数回答可で聞いており、最も多かったのは「筋肉がつる(26.5%)」で、「倦怠感(26.2%)」「頭痛(26.0%)」などが続いた。

もちろん、このような症状が出たことイコール熱中症というわけではないだろうが、知らず知らずのうちに体が“危険な状態”に陥ってしまっている人は多そうだ。

(BRITA Japan調べ)
(BRITA Japan調べ)

そして6割以上がこのような症状を感じたことがあるにもかかわらず「就寝時に熱中症対策をしている」という人は56.2%と、半数をやや上回る程度だ。

具体的に行っている対策は「冷房等で室温を下げる(71.6%)」「涼しい服装をする(57.3%)」「就寝時に水分補給をする(53.1%)」などが挙げられた。

一方で「熱中症対策をしていない」人は「危険を感じたことがないから(32.7%)」「夜は気温が下がるから(32.4%)」「お金がかかるから(22.7%)」といった理由に挙げている。その他では、「夜間/就寝中の熱中症を知らなかった」という人も16.2%存在し、“夜の熱中症”をあまり危険視していないような雰囲気も感じる。

(BRITA Japan調べ)
(BRITA Japan調べ)

そして、昼夜を問わず熱中症対策のひとつに挙げられるのが「水分摂取」。

BRITA Japanでは以前から「30分おきに75mLの水を飲む」「起床・お風呂・就寝前には水を飲む」といった「正しい熱中症対策と水分摂取の必要性」について呼びかけてきた。

(関連記事:常温水の“ちびちび飲み”が有効…医師が教える熱中症対策としての「正しい水の飲み方」

そんな中、今回の調査で「就寝前に平均してどのくらいの量を水分摂取するか?」という質問に対しては、100mL程度~500mL以上と摂取量に個人差はあったものの、86.8%の人が就寝前に水分摂取をしているという結果が出ている。

(BRITA Japan調べ)
(BRITA Japan調べ)

一方で、BRITA Japanは「一般的に1日に必要な水分量」を「2L」とした上で、75.2%の人がこれを達成できていないという結果も。

(BRITA Japan調べ)
(BRITA Japan調べ)

他にも「熱中症に有効とされる水分摂取頻度は30分に1回以上」としているが、これを達成できている人は27.5%。これは2021年に同社が実施した同様の調査の結果(39.4%)よりも割合が下がっていると指摘している。

(BRITA Japan調べ)
(BRITA Japan調べ)

厳しい暑さが続く中、「熱中症対策をしない」という人が一定数いるのはそもそもの問題だが、多くの人が就寝前に水分を摂取できている中「夜の熱中症」が多い理由は? 一方で、2021年と比べて日中に十分な水分補給ができていない人が増えたのはなぜなのだろうか。

夜は気温が低下し「つい油断してしまう」?

BRITA Japanに調査結果についてのお話と、正しい熱中症の対策を聞いてみた。


――今回「夜の熱中症」について調査した経緯は?

ブリタでは、2020年より、毎年夏の時期に熱中症予防の水分補給推進を目的として、熱中症に関するアンケート調査を実施して発表しています。毎年「マスク熱中症」や「小学生の熱中症リスクとランドセルの重さ」など、その年らしいアングルで調査を行なっています。今年は連日の猛暑から「夜の熱中症」が話題になっており、油断しがちな夜でも熱中症対策をしてほしいと考え、調査を実施しました。


――43.8%の人が「夜の熱中症」対策をしていない。この数字の受け止めを教えて。

各機関の啓発などにより、日中については大多数の人が熱中症対策に気を配っているのではないかと思います。一方で就寝時には43.8%が熱中症対策をしていないということで、日中と比較すると熱中症対策をしていない人が格段に多いのではないでしょうか?夜は気温が下がることから、つい油断してしまうのかと推察いたします。

日中に比べ、夜間の熱中症対策はできていない人が多い?(イメージ)
日中に比べ、夜間の熱中症対策はできていない人が多い?(イメージ)

――日中にこまめな水分補給ができていない人が増えたのはなぜだと思う?

2021年はまだ多くの人がマスクを着用している時期でしたので、熱中症のリスクが高いと感じ、対策としてこまめな水分補給を行なっている人が多かったのかと思います。今年はマスクを着用しない人が増え、着用時に比べて熱中症への危機感が薄れている可能性もあるのではないかと推察いたします。


――夜の熱中症対策が万全でないことが判明。今後健康のために心がけてほしいことは何?

夜でも熱中症のリスクがあることを知っていただき、冷房を上手に使って室温を下げながら、就寝前には水分補給をしてほしいと思います。ブリタのポット型浄水器なら、水道水を簡単に美味しい水に変えられます。また、いつでも水分補給ができるように、枕元にブリタのボトル型浄水器を置いておくこともおすすめします。

寝る前には「コップ1杯の水を飲んで」

また、BRITA Japanが展開している、“正しい水の飲み方”を身につける「水トレ(水トレーニング)」を監修する工藤孝文医師にも聞いた。


――多くの人が水分を摂取できている中、どうして「夜の熱中症」になってしまう?正しい水の飲み方や対策は?

厳しい暑さが続き、日中の熱中症には多くの方が気を付けているのではないかと思います。一方で気温が下がり屋内にいることが多い夜はつい油断しがちです。特に寝る時は冷房を避ける方も多いでしょう。しかし熱帯夜には就寝中におよそ500mLもの汗をかくとも言われており、熱中症になるリスクが高まります。

寝ている間の熱中症を防ぐには、冷房などを使って部屋の温度を下げましょう。タイマーなどで途中で切らずに朝まで冷房をつけっぱなしにしておくことをおすすめします。また寝る前の水分摂取を忘れずに。コップ1杯分は飲んでください。

さらに、トイレに起きた時などにもこまめに水分摂取をしましょう。いつでも水分摂取ができるように、枕元に常温の水を用意しておくのもいいと思います。

寝る前はコップ1杯程度の水分補給を(イメージ)
寝る前はコップ1杯程度の水分補給を(イメージ)

マスクの着用が個人の判断にゆだねられるようになったことで「熱中症への危機感が薄れている可能性がある」とBRITAは指摘。また、多くの人が就寝前の水分補給ができていると思われていたが、実は「飲む量が足りていない」という。

86.8%の人は就寝前に水分摂取をしているものの、そのうちの50.7%が飲んでいる水の量は「100mL程度」。工藤医師によると、本来就寝前に必要なのはコップ1杯程度(約200mL)の水ということで、自分ではしっかり水分を摂って寝たつもりでも、寝ている間に体から水分が失われ、知らず知らずのうちに脱水症状を引き起こすことで「夜の熱中症」となってしまうのだろう。

工藤医師によると、実際に「夜の熱中症」が疑われる体のトラブルの相談・受診は増えているとのこと。まだ続きそうな暑さの中、今一度、熱中症対策を見直して過ごしてほしい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。