迷いネコを“修行僧”として受け入れている静岡県函南町の寺で、「ネコのお地蔵様」が突然消えた。参拝客や“修行僧”のネコに親しまれ、SNSでも話題になっていた寺の人気者だ。誰かに持ち去られたとみられるが、住職は警察に被害届は出さない。「そっと戻して」と呼びかけている。

迷いネコは“修行僧” 寺で受け入れ

長光寺の“修行僧”ネコ
長光寺の“修行僧”ネコ
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静岡県函南町の丹那盆地は昔 養蚕業が盛んで、ネコはカイコを食べるネズミを駆除するため、昔からとても大切にされたそうだ。

長光寺(函南町)
長光寺(函南町)

その函南町にある長光寺。この寺では迷いネコやノラネコを“修行僧”として受け入れている。
寺の周辺に迷いネコやノラネコが多く、住職がエサを与えるなどしたところ自然に集まってきたそうだ。

人間である住職とネコが信頼関係を築いていく過程を“修行”とよんでいて、2023年7月時点で14匹のネコが修行に励んでいる。
住職が抱っこできるようになると、そのネコは“和尚”の位になれるそうだ。
ただネコになついてもらうためには、人間側も努力が必要のようだ。

長光寺・柿沼忍昭住職:
(ノラネコや迷いネコは)人を信じることに非常にハードルが高い。それで私はネコに信じてもらえるような和尚になるよう努める。なかなか厳しんだよ、ネコに信じてもらえるのは

住職のうしろにりっぱなネコの石像が見える。実は、寺にはつい最近まで15匹のネコが修行をしていたが、そのうち修行を積んで“和尚”になったネコが亡くなり、供養するために作った石像だそうだ。

山門で出迎える「ネコのお地蔵様」

消えた「ネコのお地蔵様」
消えた「ネコのお地蔵様」

このネコを大切にする寺の山門で約4年半にわたり多くの参拝客を出迎えてきたのが、ネコのお地蔵様だ。本堂に続く石段の上に置かれていた。

お地蔵様が置かれていた石段
お地蔵様が置かれていた石段

しかし2023年7月17日の朝、なくなっているのがわかった。誰かに持ち去られたとみられている。石像をつくった和尚のネコが亡くなったため、山門にコーンとバーをおき入山禁止にしていた時のことだそうだ。

お地蔵様があった場所を説明する住職
お地蔵様があった場所を説明する住職

長光寺・柿沼忍昭 住職:
(ネコのお地蔵様は普段通り)出したままにしておいたら、次の朝 見当たらない。ちょっと考えられない。私はとてもファンタジー好きなので、ネコがどこかに連れ去られたか、自分でどこかに行ったのかな

修行僧ネコにも親しまれていた
修行僧ネコにも親しまれていた

ネコのお地蔵様は、参拝客に頭上から落ちてくる銀杏に注意してもらうため住職が作った。丸太から作り高さ35cmほど 重さ10kgほどで、SNSで話題になり寺の人気者になっていた。
修行に励むネコたちがお地蔵様に身を寄せる姿も見られ、大勢の参拝客やネコに愛されていた。

お地蔵様が消えた後に住職が作成
お地蔵様が消えた後に住職が作成

お地蔵様がいなくなってからは、住職が角材に新たにネコの絵を描き、かわりに石段のうえに置いている。

「そっと戻して」住職は被害届ださず

長光寺・柿沼忍昭 住職:
戻ってきてくれないかな、一番はそこですね。お寺は罪を問う場所ではないので、ある朝 ポンッと(元のところに)置いてあったら、何かひとつ伝説が生まれるというか、それでひとつ物語(説法)が作れるなと思いますけど

修行僧ネコとお地蔵様
修行僧ネコとお地蔵様

「誰かが盗んだのなら反省した上で、名乗り出なくていいのでそっと戻しておいてもらえれば」と話す。
住職は被害届の提出は考えておらず、SNSで捜索を呼び掛けながら無事の帰りを待っている。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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