ベネッセが、チャットGPTを活用し、小学生の夏休みの自由研究をサポートする生成AIサービスを公開した。このサービスは、答えを教えない仕様になっているという。

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ベネッセの「自由研究お助けAI」は、ChatGPTを小学生向けに独自にカスタマイズし、自由研究のテーマ決めや、進め方を一緒に考えられる生成AIサービスだ。

ChatGPTをめぐっては、思考力が下がるなどといった懸念もあり、このサービスは答えを教えない仕様となっている。

小学6年生:
答えは直接導き出してくれないので、自分で考える力が上がるのがメリットかなと思いました。

ベネッセ・水上宙士部長:
新技術、生成AIに触れながら学習しながら、子どもたちにとっての最適な使い方を考えてもらうことこそが、未来のために大事かなと。

「自由研究お助けAI」は25日から、夏休み限定で提供される。

自分で考える力への指南が必須

「Live News α」では、津田塾大学教授の萱野稔人さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
子どもの自由研究をChatGPTが手助けするということですが、いかがですか。

津田塾大学教授・萱野稔人さん:
教育現場では生成AIに対して警戒心が根強くある。具体的には、小学校では夏休みの2大課題である「自由研究」と「読書感想文」であったり、大学ではレポートや卒論などの課題。

だが、生成AIが登場する前から、子どもたちや学生たちの中には、自分で課題に取り組んでいないケースは多い。

例えば、「自由研究」や「読書感想文」については、既存の教材やキットを購入する。あるいは、明らかに代わりに親がほとんどやったり、ネットにあるものを転用する。さらには代行業者に依頼するケースさえある。

本当に自分の力で考えて、完成させている子どもがどれぐらいいるのか、よくわからない状況がすでにあることを考えると、過度に生成AIを警戒する必要はないのではないか。

むしろ、教育現場では生成AIについて、どう使うことが適切で、生産的なのかについて議論を進めていくべき。

堤 礼実 キャスター:
確かに、今の時代、子どもの頃から生成AIになじんでいくことも、必要なのかもしれませんね。

津田塾大学教授・萱野稔人さん:
教育現場がそうした考えに方向転換しないと、AIを学ぶ機会を子どもに与えられる先進的な家庭と、そうでない家庭との格差がどんどん開いていってしまう。

生成AIによって、子どもたちが考えなくなったらどうしようと心配するのではなく、生成AIが身近に存在するようになった社会では、どのような教育が適合的なのかを考えていくべき。

堤 礼実 キャスター:
具体的には、どのような学習が行われるといいと思いますか。

津田塾大学教授・萱野稔人さん:
そもそも日本の教育では、自分の頭で考えることを重視しながらも、どうしたら自分の頭で考えることができるのか、そのアプローチの仕方をほとんど教えてこなかった。

例えば、フランスでは小学校からレポートの書き方をしっかり教えるが、日本は子どもの作文や読書感想文で、「自由に思ったことを書きなさい」と指導している。

いまの日本の教育で問われているのは、生成AIとの向き合い方よりも、教育のあり方、そのものかもしれない。

堤 礼実 キャスター:
答えを教えてもらうのではなく、答えを導くプロセスの導入として使う事で、色々な学びのヒントが得られそうです。

これからは、AIを使いこなす力が、学力や仕事などにも繋がっていくのかもしれませんね。

(「Live News α」7月13日放送分より)

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