みなさんは、人の日記を読んだことはあるだろうか?日記といえば、とてもプライベートで、誰にも見せることのない秘密の世界…。
しかし都内にあるギャラリーでは、実際に誰かによって書かれた日記が展示されていて、それを自由に読むことができる。

これは所蔵されている日記のごく一部。デザインの豊富さも見ていて楽しい
これは所蔵されている日記のごく一部。デザインの豊富さも見ていて楽しい
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その数なんと、400種類。教師への片思いを赤裸々に記した1980年代の女子高校生の日記から、定年退職する企業経営者の日記まで、内容も実にさまざまだ。

仕事用、プライベート用など人によって、日記の用途は様々。こちらは仕事について書かれているようだ
仕事用、プライベート用など人によって、日記の用途は様々。こちらは仕事について書かれているようだ

韓国人留学生の日記では、日に日に日本語が上達している様子がうかがえる。施設の利用者は1時間1000円で、好きなだけ日記を読むことができる。

仕事用、プライベート用など人によって、日記の用途は様々。こちらは旅行の記録のようだ
仕事用、プライベート用など人によって、日記の用途は様々。こちらは旅行の記録のようだ

それにしても、この施設に日記を寄贈する人は、なぜ自分のプライベートを知らない人に見せようと思ったのだろう。

ギャラリーの代表は「幼稚園児からおばあちゃんまで、幅広い層の日記があるのが施設の特色の一つ」と話す
ギャラリーの代表は「幼稚園児からおばあちゃんまで、幅広い層の日記があるのが施設の特色の一つ」と話す

施設の代表:
寄贈は、結婚式など人生の節目で行う人が多い。日記を見てもらうことで、自分の存在を認めてもらえた気分になったり 、気持ちよく未来に踏み出せる気分になったりする人が多い。

また、死別した家族の日記(遺品)を寄付する人もいるそうだ。どういう思いで、家族は寄付に至るのか?代表によれば、これは“家族の思い出や存在をなかったことにしたくない”という思いによるもので、 寄贈したことで前向きな気持ちになっているという。
そういう意味では、結婚式などポジティブな理由で寄贈している人と、本質的には同じなのではないか。

公開していない分も含めると、1000冊は軽く超えるという、人々の日記。今も寄贈は絶えない。

何げない、日々の思いが綴られているものも
何げない、日々の思いが綴られているものも

【編集後記】

このギャラリーで日記を読むと、日記自体の面白さはもちろん、 書いた人の背景を自由に想像することが非常に楽しく、 西日本からからわざわざ来る人やリピーターが多いというのもうなずける。

私も10年ほど前から日記をつけているが、数年たってから読み返すと「このころは、こんな人に会ってこんなことを考えていたんだな」と過去の出来事なのに新鮮な気持ちになる。 日記をつけていない方も、ぜひトライされてみては?

取材・執筆:菊池俊匠
(「Live News days」6月12日放送より 一部情報を追加しています)