生息数が激減し休漁が続いていた有明海の二枚貝「ウミタケ」。稚貝を海に移植するなど資源回復を目指した長年の努力が実を結び、17年ぶりに本格的な漁が解禁された。伝統漁法も復活し漁業者は活気づいている。

生息数“激減”で休漁続く

有明海でのみ生息が確認される、二枚貝のウミタケ。特徴的な太く大きな水管を海底から伸ばしている姿がキノコのように見えることから、この名が付いたと言われている。

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煮ても炒めても、生で食べてもおいしく、酒のつまみとして親しまれてきたが、生息数が激減し、2007年から休漁が続いていた。

その後、県などは人工的につくった貝の子供、稚貝を海に移植するなど資源回復に取り組んできた。

そして近年は漁業者を限定する試験操業や、伝統的な二つの漁法の技術継承などを目的とした調査操業が行われてきた。2023年3月の生息調査では、1平方メートルあたりの平均個体数が2022年の1.5倍近くに増え、期間などを限定すれば資源を守りつつ漁ができると判断された。

本格的な漁は17年ぶりの解禁

まだ夜が明けきらない午前5時頃、佐賀市久保田町の漁業者・井口繁臣さん(68)は、ウミタケが待つ有明海沖を目指して出港した。

午前7時の有明海では、酸素ボンベなどをつけた潜水士がウミタケを取りに海に潜っていた。

井口さんが行うのは、「簡易潜水器」による漁だ。この漁法は、酸素ボンベを背負って潜り、直接海底のウミタケを捕る方法で、貝を傷つけずに捕ることができる。

初日はポイントを変えながら約4時間潜り、200個ほどを水揚げした。

漁師・井口繁臣さん:
緊張もしたし期待と不安で昨日はやや寝不足。でも期待通り大きいものから小さいものまでいたので、来季以降も楽しみ

最長10メートルの棒を使う「ネジ棒漁」

もう1つの漁法「ネジ棒漁」。

水深によって長さを変える最長10メートルほどの棒を使ってウミタケを捕る方法だ。

この道約40年の佐賀市川副町の藤川直樹さん(56)は、棒の先に付いた金具に、ウミタケから伸びる水管を絡めて一気に引き上げた。この方法は、ウミタケの姿を直接見ることができない。そのため、ウミタケが多く集まっている漁場などの情報を周辺の船とも共有しながら、手際よく捕っていった。

漁業者・藤川直樹さん:
みんなが待ち望んでいた。食卓に届けるのは漁業者の自分たちにしかできないことだから、いっぱい捕ってなるべく皆さんに食べてもらえるように頑張る

2023年、待望の解禁となったウミタケ漁。約65隻の船で1カ月限定という制限はあるが、本格的な漁が再開し、漁業者は胸をなで下ろしている。捕れたウミタケは順次、市場や県有明海漁協の直売店など県の内外へ出荷される。

(サガテレビ)

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