6月21日に日本では部分日食が見られる!

6月21日の夕方、日本全国で部分日食を見ることができることをご存知だろうか。アフリカからアジアにかけて一部の地域では金環日食が見られるが、日本では部分日食となる。

東京では、食の始めが16時11分13秒、食の最大が17時10分12秒、食の終わりが18時3分43秒となっている。沖縄・那覇では東京よりも大きく欠け、15時59分36秒に食が始まり、17時16分41秒に食の最大となる予測だ。

提供:国立天文台
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提供:国立天文台
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日食とはそもそもどのような現象なの?

21日の日食に注目が集まるが、そもそも日食とはどのような現象なのか。国立天文台のウェブサイトを参考にその仕組みなどを紹介していく。

日食とは、月が太陽の前を横切るために、月によって太陽の一部、または全部が隠される現象をいう。太陽の隠され方によって、部分食、皆既食、金環食の3種類に分類される。

部分食とは太陽の一部が月によって隠されるもので、皆既食は太陽の全てが月によって隠される。そして、金環食は太陽のほうが月より大きく見えるため、月のまわりから太陽がはみ出して見える現象をいう。

提供:国立天文台
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日食が起こる仕組みだが、地球の外から見ると、日食とは、月の影が地球に届く現象だ。この影の中から見ると、月によって太陽が隠されるというわけだ。

なお、太陽が全部隠されるのが皆既食で、非常に狭い範囲でしか起こらない。太陽の一部が隠される部分食は広い範囲で起こり、地球と月との距離が遠いときには、狭い範囲で金環食が起こるという。

提供:国立天文台
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また日食は、見る場所によって、どのくらい深く欠けるかも異なり、日食が始まる時刻や一番大きく欠ける時刻、そして日食が終わる時刻も異なるので注意が必要だ。

このような観察方法は絶対にダメ!

日食の仕組みが分かったところで、続いては観察の方法や注意点を紹介したい。

まずは、絶対にやってはいけないことについて説明していく。下記のような方法では絶対に日食を見てはいけない。

1.肉眼で直接見る(数秒でも危険)
2.望遠鏡や双眼鏡を使う
3.色つき下敷きやCDを使う
4.フィルムの切れ端を使う
5.すすを付けたガラス板を使う
6.サングラスやゴーグルを使う
7.日食グラスを使って望遠鏡や双眼鏡をのぞく

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太陽は満月の約50万倍という明るさだ。肉眼で直接太陽を見ると、たとえ短い時間であっても目を痛めてしまう。

太陽の一部が月によって隠されていても、太陽の光や熱が強いことに変わりない。見た目ではあまりまぶしく感じなくても、光の遮断が不十分なものや目に有害な波長の光を通しやすいものを使うと、網膜を損傷してしまう危険性がある。安全な方法で観察しなければ、最悪の場合、失明することもありえるのだ。

日食の安全な観察方法は?

では、安全な日食の観察方法とはどのようなものか。

以下の3つの方法であれば安全に見ることができる。(ただし、日食を安全に観察する方法は、以下に書かれているものがすべてではない)

1.ピンホールを利用する
2.日食専用のグラスや遮光板を使う
3.望遠鏡を使って太陽投影板に投影する

“ピンホールの利用”とは、厚紙などに小さな穴を開けたものや、麦わら帽子や木漏れ日のように、細かい隙間があるものの影の中に映った太陽の光が、欠けた太陽の形になることだ。これはピンホールカメラの原理であり、太陽を直接見ないので安全に観察することができる。

提供:国立天文台
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また、日食専用のグラスや遮光板(以下日食グラス)を正しく使うと、安全に太陽を観察することができる(一般のサングラスなどは、どんなに濃い色のものでも太陽の強い光や熱を通してしまう)。必ず製品の説明書を読んで使い方を確認し、また、特に下記の事項をしっかりと守ってほしい。

1.日食グラスをしっかりと目に当てて、太陽の光が日食グラスのまわりから目に入ってこないようにする。
2.顔を太陽の方向に向けている間は、絶対に日食グラスを目から外さない。
3.日食グラスを使っていても太陽を観察する時間はなるべく短くし、長時間連続した観察をしない。

提供:国立天文台
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最後に、望遠鏡に取り付けた太陽投影板に太陽を投影する方法だが、大勢の人が一度に日食の様子を観察することができるメリットがある。なお望遠鏡には、太陽観察に適さないタイプのものもあり、それぞれの望遠鏡の説明書などを確認してほしい。

提供:国立天文台
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ここまで日食の安全な観察方法について説明してきたが、今回の日食を観察する上で、日食時の太陽高度が低いことと、新型コロナウイルスに配慮して、以下のような点にも気を付けて観察してほしい。

1.太陽の高度が低いと、太陽の光が弱くなります。そのため、「日食専用のグラスや遮光板を使う」方法では、太陽の像が暗くて見えづらい場合があるかもしれません。そのようなときでも、日食専用グラスや遮光板を使わずに太陽を見ることは絶対にやめてください。太陽を直接見てしまうと、たいへん強い光や熱により目に回復できない損傷を受ける可能性があります。

2.太陽の光が弱いため、「ピンホールを利用する」方法では、太陽の形がはっきりと見えないことがあります。

3.
太陽の高度が低いため、近くの建物などが邪魔になって太陽が見えない場合があるかもしれません。そのようなときでも、他人との接触機会が増えないよう、家の近くで観察しやすい場所を見つけ、遠出をせずに観察してください。

日食を観察するには気を付けなければならないことが多い。今回の日食の特徴や見どころについて、国立天文台の山岡均准教授にお話を伺った。

西側が開けたところで観察するのがおすすめ

ーー今回の日食には何か特徴はある?

今回は地球と月との距離が遠いタイミングで起きるので、月の見かけの大きさは太陽の見かけの大きさよりも小さくなります。アフリカや中東、インド北部から台湾中部では、太陽が月からはみ出た金環日食が観測されます。日本でも晴れれば南鳥島を除く全域で食の最初から最後まで見ることができます。


ーー今回日本では部分日食だが、日本で見る際の見どころは?

夕方の現象なので、西側が開けたところで観察するのが良いでしょう。南西に行くほど食が深くなりますので、各地からの映像でその違いを見るのが楽しいでしょう。


ーー日食を見ることができる周期や比較的よく見ることができる場所はある?

全地球的には日食は18年ちょっとの間に40回ほど起き、それを繰り返していきます。どの地点で見られるかは日食ごとに違い、どこで頻繁に起きるということはありません。


ーー日食は天文学的にどのような意味合いがあるの?

歴史的には、日食や月食は太陽や月の運動の測定や予報に使われてきました。暦の精度の確認や、ニュートン力学の発展にもつながりました。太陽の近くを通った光が曲げられる効果を、皆既日食時に観測で確かめ、一般相対性理論が検証された(1919年)こともありました。

月が太陽全面を覆う皆既日食時には、太陽を取り巻く薄く高温の大気が観測できます。また、皆既の前後には月の縁の凸凹を詳しく知ることができます。ただしこれらは現在では、X線や紫外線での太陽観測衛星、また月周回探査機による測定にとってかわられています。
 


今のところ21日の天気は全国的にそこまで悪くなさそうな予報で国立天文台の特設ページでは、部分日食のライブ配信も行うとのことだ。新型コロナウイルスによる影響で、現在もステイホームを続けている人は多いと思う。21日の夕方は、自宅や自宅近くの西側の開けた所で観察するのがよさそうだ。

なお、次に日本で日食が起こるのは2023年4月20日で、この時、オセアニアなどの一部地域では皆既食、日本では一部地域で部分食が起こる。また、次に日本全国で部分食が起こるのは2030年6月1日だ。この時は北海道の大部分で金環食となる。
 

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プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。