子どもたちの好奇心が、歴史に残る大発見につながった。三重県津市に住む兄弟が、近所の山で「お宝」を見つけた。

壺・刀・和鏡などが一緒に出土…平安後期-鎌倉にかけての墓か

兄・伊藤瑚太郎君:
こんな近くにこういうものがあるんやっていう驚きと、見つけられたっていう「やったー」っていう喜びがありました

弟・伊藤展梧君:
「うわーすげえ!」みたいな感じで驚いて。なんだこれっていう感じに思いました

興奮した様子で振り返るのは、津市に住む伊藤瑚太郎君(12)と弟の展梧君(9)。2022年1月、空手道場の先生と3人で近所の山で遊んでいたところ、歴史に残る大発見をした。

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見つけた場所は、木々がうっそうと茂った山の中。急な斜面が立ちはだかる獣道を息を切らして登ること約15分、たどり着いたのは少し開けた山頂付近だ。そこには不自然に置かれた石があった。

兄・伊藤瑚太郎君:
ここだけ他の石よりも結構大きくてくっついていて、しかも置き方がちょっと不自然な感じで。これをのけたら、ここに壺(つぼ)があったという感じです

弟・伊藤展梧君:
「これヤバいやつちゃうんか」って言って、みんなでヒソヒソ声で話し始めて、ちょっとワクワクしました

石の下を掘り進めると、丸みを帯びたいかにも古そうな壺が。蓋のようなものもかぶせられていた。

津市教育委員会生涯学習課の中村光司さん:
これが壺なんですけれども、12世紀内に渥美半島で作られた壺だなというのが、模様とかプロポーション、スタイルとかで分かります。ここに4方向に耳があるんですけど、4つの耳と壺と書いて「四耳壺(しじこ)」と呼んでいます

壺には取っ手か輪っかのようなものがついていた跡があり、複数の線が刻まれている。この特徴などから、平安時代後期から鎌倉時代にかけて渥美半島で作られたものとみられている。

さらに壺の近くからは鉄の刀と、菊の花などが描かれた和鏡が見つかった。この3つが同じ場所で見つかったことが今回の大発見。

津市教育委員会生涯学習課の中村光司さん:
一つのセットになって出てきたというのは、県内では初めての事例なのかなと思います。元々ここは遺跡じゃなかった所なんですよ。こういうのが埋まっているなんて全然思っていなかったでしょうし、本当に大発見だったと思います

壺は骨を収めるためのものだった可能性があり、刀と鏡が一緒に埋葬されていることから、平安時代後期から鎌倉時代にかけての地域の有力者が埋葬された墓とみられるという。

弟・伊藤展梧君:
刀とか持っている人がよく歩いていて、戦って負けちゃった人がここに。そういう人たちのおった場所なんだと思います

兄・伊藤瑚太郎君:
こういうものを見つけましたという事実が自分の力にもなるので、それも自分にとって宝なのかなと思います

この大発見、一緒にいた空手の先生にも大きなお手柄があった。

空手の先生の吉田真典さん:
どうしたらいいのかなと思って。よくあるじゃないですか、蓋を開けたら呪いがあって…みたいな、アハハハ。「ちょっと怖いよな」って3人で言っていて、「戻そう」って

元の場所に戻した後、先生がすぐに博物館へ連絡したことで、遺跡は守られた。

市は調査を進めると共に、今回見つかった壺などの一般公開も検討している。

(東海テレビ)

東海テレビ
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