「観光」建て直しなるか 注目の「石垣モデル」

石垣市内のとある飲食店に導入されたのは、AIを活用した体温測定器。

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豊年満作 黒島啓さん:
出来る限り対応して、お客様に安全なお店だというふうに思っていただいて

さらに、観光客が宿泊するホテルでは…

ホテルミヤヒラ従業員:
チェックアウトして3日後をめどに、体調確認のご連絡をさせていただくということで…

島をあとにした観光客への体調確認、一体なぜ…?

実は、これらの取り組みは「石垣モデル」と呼ばれ、苦境にあえぐ沖縄観光を建て直すためのモデルケースとして注目されている。

県立中部病院 高山義浩医師:
決して、1人1人の観光客に対して警戒感を高めるということではなく、全般的にウイルスが持ち込まれるリスクがあるということを前提にする

石垣市 中山義隆市長:
出入りの管理が出来れば、感染拡大防止をしながら経済の回復というのは、確実に出来ると思っています

経済活動と感染リスク 2つの怖さを抱える街

6月10日から観光客の受け入れを再開した石垣市。
現在の街の様子は…

稲嶺羊輔キャスター:
緊急事態宣言が出される前に取材した商店街に来てみたんですが、観光客の受け入れを再開したとは思えないほど人の姿がありません

6月18日までは、都道府県をまたいだ観光について引き続き自粛が呼びかけられていることから、観光客の姿はごくわずか。

この影響で、マリンレジャーが人気の川平湾では、グラスボートの営業がまだ再開できていない。

川平マリンサービス 砂川正作取締役:
観光客のお客さんがお越しになっていただかないと、経済が回らないというのが実際だと思います

一方で、2020年4月に島を訪れた観光客から二次感染が発生した経緯をふまえ、このような意見も…

真仁屋そば屋 宮良安和さん:
(観光客が)来ると、またウイルスが持ち込まれないか。そういう(経済面と)2つの怖さがありますね

専門家も評価 官民一体の“石垣モデル”

経済活動と感染リスクとの間で住民が揺れ動く中、今後は徐々に観光客の数が回復することが予想されることから、各業界が着々と感染防止対策を進めている。

市内にあるホテルでは…

稲嶺羊輔キャスター:
こちらのカードを額に5秒ほど当てると、このように体温が表示されます

市内にあるビーチホテルサンシャインに6月に新たに導入されたのは、体温を測定出来るチェックカード。

仮に発熱が確認された場合は、外出を控えるよう呼びかけるほか、新型コロナウイルスの感染の疑いが強い場合には、保健所などと連携して対応にあたる。

石垣市では、PCR検査機器を独自に導入していて、午後2時までに検体を採取すれば、2時間後には検査結果がわかるようになっている。

さらには、こんな取り組みも…

ホテルミヤヒラ従業員:
その後、何か体調などお変わりはないでしょうか

ホテルの利用客に対し、チェックアウトから3日後に体調の確認をしている。

ウイルスの潜伏期間を考慮し、仮に体調に異変があった場合は、島内での行動履歴を聞き取って、濃厚接触者を特定することで「感染拡大の芽」を摘む。

ホテルミヤヒラ 大濱幹彦営業支配人:
チェックインの際にご説明させていただいておりますので、ご連絡の方はついています。石垣市からの要請もございましたので、市民、観光客の安全を第一に考えて協力させてもらっています

市では、観光客を受け入れる宿泊業や飲食業などに対し、感染予防ガイドラインの策定を求め、有効な対策を講じた事業者に認定証を交付することで、利用者が安心できるような仕組みづくりを急ピッチで進めてきた。

この一連の「石垣モデル」を、専門家も高く評価している。

県立中部病院 高山義浩医師:
行政民間が連携して、良く早く対応出来たなと思います。(今後は)全般的にウイルスが持ち込まれるリスクがあるということを前提にして、症状を自覚したら早めに受診していただく。検査を受けていただくということが大事になってくると思います。いろいろ先行事例として教えていただくことはあるんじゃないかなと思います

さらに市は、5月に交付した条例で、観光客に対し「対策に協力するよう努めなければならない」と定めていて、観光客はおおむね理解を示している。

ーー面倒くささは?

観光客:
そんなん別にないですね

ーーそれで安心してこられるんだったら?

観光客:
そうですね

観光客:
石垣の人にうつしたら、二度と来られないもんね。気を付けています

“再び渡航自粛にならないように” 国・県・住民の連携が必要

さまざまな対策を独自に打ち出した中山市長は、市民の感染への不安に配慮しながらも、観光業を中心に経済を回していく必要性を強調する。

石垣市・中山義隆市長:
やはり(自粛が)1カ月、2カ月と続くと、経済活動も厳しい状況になってきますので、今回とったようなさまざまな措置をとることで、市民の皆さんの理解をいただいて、受け入れ態勢を作ってきたところです。市民生活とか、経済活動を動かしながら、感染拡大防止に努めていきたいと思っています

一方で、石垣島は感染症に対応する医療体制が脆弱(ぜいじゃく)なことから、今後の感染状況によっては、再び渡航自粛を求める可能性もあるとし、そのような状況に陥らないためにも、島全体での協力体制が必要だと話す。

石垣市 中山義隆市長:
出入りの管理が出来れば、感染拡大防止をしながら経済の回復というのは、確実に出来ると思っています。各機関とか、もちろん国や県と、また市民の皆さんとも連携しながら、あまり焦らずに、だけど確実に前に進んでいきたいと思っています

今後も新型コロナウイルスとの共生を余儀なくされる中、“石垣モデル”で市民の安全と経済活動を両立することが出来るかが注目される。

(沖縄テレビ)

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