「教団を脱会すると家族と会えなくなる」キリスト教系の宗教団体・エホバの証人の元2世信者・小松 猛さん(40)は、そうした苦悩を訴え続けている。

家族と会えない 教団特有の「忌避」

「エホバの証人」元2世信者・小松 猛さん:
家族においては最低限の交流すらも絶たれている状況。今現在も続いている

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小松さんが家族と会えなくなった理由は、教団特有の「忌避」という対応にあった。

エホバの証人を脱会すると、家族でさえも交流が絶たれてしまうのが忌避。

支援弁護団・田中広太郎弁護士:
その日(脱会)を境にエホバの証人からは、透明な人間のようにみなされるか、病原菌のように扱われる

両親と兄が現役信者だという小松さん。

20年前に教団を脱会したことで、兄の結婚式にも呼ばれなかった。

「エホバの証人」元2世信者・小松 猛さん:
両親は、「あなたがエホバの証人の組織に信仰を持って戻ってこない限りは、孫にも会うことができない」と、はっきり言われた。この忌避問題がひっかかって、致し方なくとどまっている人が多くいる

信仰反対する父親の葬儀は参加できない

現役信者の高校生は、FNNの取材につらい胸の内を明かした。

現役3世信者の高校生:
私は高校を卒業したら着の身着のままでの夜逃げを考えています。ですが、3世で親族が全員信者なため、行く当てがありません

イットが取材したのは、オンラインで開かれた宗教2世の会。

現役信者の母親を持つ元2世信者の女性は、信仰に反対する父親の葬儀に参加はできなかったという。

元2世信者の女性:
参加できなかった父のお葬式を思い出してフラッシュバックを起こした

この会の主催者で、京都府立大学の横道 誠准教授も元2世信者だ。

京都府立大学・元2世信者 横道 誠准教授:
私はフラッシュバックが多い方で、“地獄行きのタイムマシン”と呼んでいる。今の問題なんですよね、今苦しいという問題

エホバの証人は9日、イットの取材に対し忌避については「個人の選択と行動の結果」と文書で回答した。

一方、厚生労働省が2022年12月に定めたガイドラインでは、無視差別的な態度を示すことで、宗教活動への参加を強制することは「心理的虐待」だとしている。

(「イット!」3月9日放送より)