最近、街であまり見かけなくなった「公衆電話」。
東北有数の温泉地、宮城県大崎市鳴子温泉で、多くの人に愛された1台の「公衆電話」が
2023年2月、姿を消した。

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多くのこけしが街を彩る、宮城県大崎市鳴子温泉。それは、旧鳴子総合支所の前にあった。
直径1メートルほどのこけしの頭がのった「公衆電話ボックス」。電話ボックスを胴体に見立てている。

その愛らしい姿から、地元の人だけでなく、観光客の人気スポットになっていた。
夜も風情が…。雪に覆われた姿は、誰もが足を止めたくなる、そんな趣があった。

何の気になしにずっとあった

近くでこけし店を営む岡崎靖男さんと、弟子の田邉香さん。
2人は、2月15日、公衆電話の「電話部分」が外された日のことを鮮明に覚えている。

田邉香さん:
これは一大事だと思って、師匠のところに、この外された状態を報告しに走った

このこけし、いつ、誰が、何の目的に設置したのか…。
実は、大崎市も公衆電話を管理するNTTも、詳しくは「分からない」そう。
ただ、市の広報誌を確認してみると、1977年にはなかった「こけし」が、1984年にはその姿を確認できた。

多くの人を楽しませてきた、こけし電話ボックス。
別れは突然だった。

2023年2月28日、残っていた「こけし」と「ボックス部分」も撤去された。
理由は老朽化。長年、街を見つめるうちに、いつしか劣化が進んでいた。NTTでは、安全上の観点から、今回撤去を決めたという。

スマホの普及など、ライフスタイルの変化により、年々、公衆電話は減少傾向にあり、現在は大崎市内で残る公衆電話は、233台となった。

こけし職人 岡崎靖男さん:
寂しい。今まで何の気なしにずっとありますから。20年、30年前から。私の灰色の記憶の中にね、ずっとあるので困っちゃいますよね

大崎市では、こけしの部分を引き取り、活用方法を検討している。
大崎市によると、こけし電話ボックスは、市内であと1カ所のみとなった。

※写真提供:岡崎靖男さん 田邉香さん

(仙台放送)

仙台放送
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