寒い日には温かい料理が最適。北海道の南部ではこの時期「ごっこ」と呼ばれる魚をアツアツの料理で楽しむ人が多いが、この魚の認知度、札幌市でも上がってきているようだ。
コラーゲンたっぷり「ごっこ」…今が旬
立ちのぼる湯気。アツアツのスープ。中に入っている身はコラーゲンがたっぷりで、ぷるっぷる。
北海道南部地方の郷土料理「ごっこ汁」だ。
「ごっこ」は今の時期、主に北海道の南部でしかとれない。
函館市の恵山地区。ごっこは沖合で成長し、冬になると産卵のため、浅瀬にやってくる。
それを狙って水揚げは12月から3月の間で行われる。
水揚げされた「ごっこ」は非常にインパクトがあるが、つぶらな瞳で非常にかわいい。
七福神の布袋様に似ていることから、正式名称は「ホテイウオ」。全体がゼラチン質で、コラーゲンがたっぷりだ。
漁師・泉義峰さん:
（食べる人は）女性の方が多いかもしれませんね。コラーゲンとかで美容に良い
美容にも良い「ごっこ」
「ごっこ」の出荷先は主に北海道南部地方ですが、最近は札幌市のスーパーでも見かけるようになった。
新崎真倫記者:
あ、ありました！ごっこ！１匹丸ごと！オスは300円台から。メスも1000円前後で手に取りやすい値段で売られています
買い物客:
小さい時、おばあちゃんが作ってくれて食べた、ごっこ（料理）。なんか懐かしいよね
買い物客：
（ごっこ）見ますね。数は少ないけど、（店頭で）並んでいるところは結構ありますよね
海産物の種類が豊富な札幌市北区の「北海市場屯田店」では、メスが1匹700円台、オスが300円台から売られていた。
北海市場・斉藤亮彦さん:
ちょうど安くて一番おいしく食べられる時期。以前は漁師が食べていたイメージだったが、最近はスーパーなど販売する店も増えてきたので普通の客も買うようになりました
ごっこの漁が始まったばかりの1月に比べると半額ほどに値が下がり、今が最安値。
この店では旬の今を逃さないようにと、食べ方などを紹介している。
北海市場・斉藤亮彦さん:
以前は好きな人だけが買う印象でしたが、一回試しに買ってみようかなという人も増えている
家庭でも簡単調理「ごっこ」の食べ方
ごっこを家庭で料理するにはどのようにしたらいいのだろうか。
ごっこ料理を提供している北海道函館市内の飲食店で、調理法を教えてもらった。
まず、ごっこから卵を取り出したあと、30秒ほど熱湯に浸し、ぬるま湯でぬめりをとる。
ぬめりを取ったら、お腹の吸盤に沿って丸く包丁を入れ、内臓を取り出す。
あとはお好みの大きさに身を切り分けていくだけ。
初めての人は調理ばさみを使うとスムーズにさばけるという。
恵山ラーメンちさ・泉正さん:
（Ｑ：家庭でも簡単にできる？）そうですね。普通の魚と比べて簡単かもしれません
ごっこの卵と切り分けた身に一緒に入れるのは、ネギ、豆腐、大根、それにおろし生姜。
味付けのベースは、しょうゆと料理酒。
恵山ラーメンちさ・泉正さん：
ごっこから出る甘みと卵から出るコク。余計なものを入れるとそのおいしさがなくなります
「ごっこ汁」の完成だ。
斉藤健太記者：
魚じゃないみたいですね。すごくぷるぷるで、卵も濃厚でクリーミーでおいしいです。
恵山ラーメンちさ・泉正さん：
物価が高いからね。ごっこは庶民的な値段。みんなで家族で食べられますから。野菜もたくさん入れると体にも良いし。（ごっこは）すごく良い食材だと思います
シーズンは3月まで。今が旬の「ごっこ」を一度味わってみてはいかがだろうか。