復興支えるビジネスホテルが思わぬ苦境に

福島県のJR富岡駅前にある「富岡ホテル」。
オープン以来、約4万人の利用客を迎えた。

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富岡ホテル 渡辺吏社長:
このホテルをまるっきり素人から立ち上げて、この2年半はあっという間、このホテルのことだけを考えてやってきました

社長の渡辺吏さん。
今、新型コロナウイルスの影響で思わぬ苦境に立たされている。

避難指示の一部解除をきっかけに、東日本大震災から約6年半後の2017年10月にオープンした富岡ホテル。

創業メンバーは、渡辺さんを含め8人。
震災前まで、地元で飲食店などを営んできた仲間。

新型コロナの影響で心配される復興の遅れ

震災と福島第1原発事故で、一時は全町避難を余儀なくされた富岡町。
人口は今も1400人余りで、震災前の9%ほどにとどまっている。(5月1日時点)

富岡町産業振興課・坂本隆広課長:
ことしは、3月に常磐線の全線開通があったり、帰還困難区域の一部避難指示解除もあって、桜の名所・夜ノ森の「桜まつり」もあった。そこをチャンスとして、町内の状況を(避難中の町民に)発信するというのが一番ことしは期待していました

しかし、新型コロナウイルスの影響で、予定していたイベントなどは、相次いで規模縮小や中止に。

さらに、住民の帰還を進めるために欠かせない町の整備や企業の誘致が足踏み状態となるなど、復興の遅れも心配されている。

先行き不透明の中、町民たちの言葉が心の支えに

オープン以来、復興関連の事業などで多くの宿泊客が利用していた富岡ホテル。

しかし、新型コロナウイルスの暗い影は瞬く間に広がり、3月と4月の予約はキャンセルが相次ぎ、売り上げも大きく減少した。

富岡ホテル 渡辺吏社長:
4月の時点での赤字幅だったら、1年続いてもなんとか。でも5月。5月の時点は、その3倍くらいの赤字になる可能性もある…。世の中って何があるかわからないのを痛感した。震災も経験して、今回も経験して

先行きが見えない中、心の支えになっているのは、ホテルを開業した時に町民たちからかけられた言葉だった。

富岡ホテル 渡辺吏社長:
「お前たちがそこで頑張っている姿を見て、応援しているからね」という言葉を結構かけてもらった

ホテルの常連客からも、「フロントの人も親切で、料理もおいしいし最高です。第二の家庭みたいな感じ」、「これからもお一人お一人新型コロナウイルスに負けないように頑張ってほしい」などのエールが。

富岡ホテルのロゴマークは、町のシンボルでもある桜の「新芽」。
そこには、創業メンバーの強い決意が込められている。

富岡ホテル 渡辺吏社長:
これから、どんどん新芽から育って咲いていく。これが満開だというのは、多分ない。常に危機感を持って、自分たちができることをしっかりやっていくしかないのかなと思う

新芽を育て上げ、いつか故郷に大輪の花を咲かせたい。
“アフターコロナ”を見据えて、今は試練の時が続いている。

(福島テレビ)