「日本の無人島を買った」

中国メディアによると、中国人の30代の女性がSNSでこう投稿しているとして、いま注目を集めている沖縄県の屋那覇島(やなはじま)。2月13日午後、取材班はこの島に単独上陸した。(※許可を得て村が所有する島の土地で撮影)

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「親族の会社名義で」島の面積の半分を購入

青く澄んだ海の向こうに見えてきた、無人の砂浜。

注目を集めている沖縄県の屋那覇島(やなはじま)へ
注目を集めている沖縄県の屋那覇島(やなはじま)へ

取材班:
何もないですね。この辺りが港といいますが、ボロボロに壊れてしまっています。

屋那覇島(やなはじま)は、沖縄本島の北側。伊是名島(いぜなじま)から約1kmの場所にある、周囲を砂浜に囲まれた無人島だ。

伊是名島(いぜなじま)から約1kmの場所にある
伊是名島(いぜなじま)から約1kmの場所にある
砂浜に囲まれた無人島
砂浜に囲まれた無人島

これは2023年1月、中国人女性が屋那覇島初上陸の様子として、SNSに投稿した動画。

中国語で「3年前に購入した小さな島です」との説明文が添えられていた。

動画には説明文が添えられていた
動画には説明文が添えられていた

女性らは小舟で上陸し、島内の様々な場所やカニなどを撮影。自らが砂浜を歩く姿なども公開していた。

中国の一部メディアによると、女性は「親族の会社名義で島の土地を購入した」と説明しているという。

屋那覇島の面積は約74万平方メートル。登記によると、東京都内に本社がある企業がその半分にあたる約38万平方メートルを取得していたことが分かった。

土地を購入したのは、中国でビジネスを展開するコンサルティング会社。

東京都内に本社がある
東京都内に本社がある

ホームページには「沿革 令和3年2月 沖縄県の屋那覇島を取得」との記載があり、島の土地については「現在、リゾート開発計画を進めております」と書かれていた。

「沿革 令和3年2月 沖縄県の屋那覇島を取得」との記載も
「沿革 令和3年2月 沖縄県の屋那覇島を取得」との記載も

観光客向けキャンプ施設も、今は水が流れず

では今、島はどのような状態なのか。

取材班「島全体が雑木林のようです。道は全く整備されていません」
取材班「島全体が雑木林のようです。道は全く整備されていません」

取材班:
島全体が雑木林のようです。道はありません。道なき道を進むというところです。全く整備されていません。

屋那覇島に電気や水は通っておらず、人が住んだことはないという。

「観光客は来ます、きれいですから」
「観光客は来ます、きれいですから」

取材班:
島にはどんな人が来る?

伊是名島の漁師:
キャンプとか釣り人とか。観光客は来ます、きれいですから。

取材班:
白い建物がありました。管があって、水が流れていたのでしょうか。

隣の島から水を引き、設置されていた
隣の島から水を引き、設置されていた

島にある観光客向けのキャンプ施設。隣の島から水を引き、トイレやシャワーが設置されていたが…。

新型コロナの影響で約3年前から観光客利用がなくなり、施設は使われていない
新型コロナの影響で約3年前から観光客利用がなくなり、施設は使われていない

取材班:
蛇口を回しても水が流れません。通っていないようです。

新型コロナの影響で、3年ほど前から観光利用がなくなって以降、施設は使われていないという。

砂浜で見つけた浮き 流れ着いたものか、漢字が書かれている
砂浜で見つけた浮き 流れ着いたものか、漢字が書かれている

取材班:
きれいな砂浜に流れ着いたものでしょうか、浮きがあります。漢字ですが、日本語じゃなさそうですね。

関係者によると、島では別の会社が車エビなどの養殖事業を計画し、土地を購入していたが計画が頓挫。結果、土地が競売にかけられたという。

伊是名島観光協会の担当者によると、「島のリゾート開発について、これまで説明はない」ということだ。

伊是名島民・北京市民の声 政府の対応は?

中国人女性が明らかにした“無人島の土地購入”をめぐっては、屋那覇島への玄関口である伊是名島で不安の声が聞かれた。

伊是名島の漁師:
最近、2、3日前に聞いてびっくり。どうしても違和感があります。

伊是名島の住民:
面白くないですよ。(島が)将来、中国に取られるかわからない。

沖縄の島購入について、中国国内ではこのような声が上がっている。

「どうして個人で島を購入したの?」
「どうして個人で島を購入したの?」

北京市民:
どうして個人で島を購入したの?自分の国でも作りたいの?

北京市民:
その島は、中国のものとみなしていいんじゃない。

“島は中国のものとみなしていい”といった意見も。

(2月13日)
(2月13日)

屋那覇島について、調査する考えについて問われた松野官房長官は13日、「特定の土地の所有者や対応について、政府としてコメントするのは差し控える」としながら、こう回答した。

「ご指摘の屋那覇島については、本法律の対象とはなりません」
「ご指摘の屋那覇島については、本法律の対象とはなりません」

松野官房長官:
ご指摘の屋那覇島については、領海基線を有する国境離島、または有人国境離島・地域離島に該当するものでなく、本法律の対象とはなりません。

屋那覇島は法律上の調査対象ではないとしつつも、「政府としては、関連動向について注視していく」としている。

一方、“ヒゲの隊長”こと自民党の佐藤正久元外務副大臣は、安全保障上の問題がないとは言えないと指摘した。

自民党 佐藤正久元外務副大臣:
外国人の方が島を買うということは、安全保障上、絶対懸念がないかというと、それは言えないと思います。これは、しっかり法律の運用指針を見直すことによって、調査法の対象にすべきだと思います。

「しっかり法律の運用指針を見直すことによって、調査法の対象に」
「しっかり法律の運用指針を見直すことによって、調査法の対象に」

“中国による沖縄の無人島の土地購入”をめぐり、今後の日本政府の対応が問われそうだ。

(「イット!」2月13日放送)