「物価の優等生」と言われてきた卵の価格が今、高騰している。影響を強く受けている愛知の養鶏場を取材した。

高騰続く「卵」今後も見通せず…一部マヨネーズも4月出荷分から値上げ

約1万2000羽の鶏を飼育する愛知県大府市の「花井養鶏場」。毎日1万個の卵を生産してスーパーなどに卸している。

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花井さんは、愛知県内3カ所で養鶏場を営んでいる。

花井養鶏場の花井千治社長:
200〜280円(税別)くらいで販売されていたものが、今は250~330円(税別)くらいで販売されているのが現状になっております

2022年は、1パックあたり約50円の値上げをした。

その鶏がいる所に案内してもらうと…。

花井千治社長:
今は鳥インフルエンザが大発生しているものですから、部外者は入れちゃいけない

2022年末に豊橋市でも発生した鳥インフルエンザ。日本全国の鶏の1割近い1千万羽が殺処分になり、卵の供給が激減した。

感染を防ぐため、関係者以外は立ち入り禁止だ。

花井千治社長:
これが今食べている配合飼料といわれるエサなんですけど、この値段が非常に高騰している。98%ぐらいは輸入です

エサは海外から輸入したトウモロコシや大豆など。花井さんによると、世界的に穀物需要が高まり3年ほど前から上がり始めたのを皮切りに、ウクライナ侵攻に円安も重なった。

花井さんが営む3つの養鶏場全体の餌代は、先月1カ月で約2200万円。1年前に比べると700万円も上がった。

花井千治社長:
6〜7割くらいが生産費の中で占めるエサ代なんですけども、それが上がっちゃっていると本当に大変です。10個入りの1パックでは(生産コストが)90円くらい上がってしまった

年々増える餌代の出費は深刻で、国からの補助でなんとか生産を維持できているという。

こうした鳥インフルエンザやエサ代の高騰で、卵の価格は2022年から急上昇。2月9日時点の基準値は、1kgあたり340円と、2022年1月に比べて2倍以上になっている。

花井さんも何とかやりくりするため試行錯誤を繰り返している。

花井千治社長:
見た目が分かりにくいかもしれませんけれども、実はひびが入っているんです。(規格外の卵は)加工用にまわしていくんです

衛生面に問題はないものの、殻にひびや汚れがある規格外の卵を、2022年から味付け卵や卵焼きなど、料理の形で卸し始めた。

そのままだと1個あたり約12円だが、加工することで倍近い20円ほどで売れるという。

しかし、根本的な解決には至らず、今後への不安は拭えないと言う。

花井千治社長:
ゴールデンウィークくらいまでは結構高値の値段で推移するだろうと考えています。もう物価の優等生ではなくて、普通に生産原価を考えると、1パック300円近くにならないと成り立たない時代に入ってきたんじゃないのかなと思っております

そもそも卵が「物価の優等生」といわれるのは、ケージなどを使った生産の効率化や、エサ代の変動が少ないという点があったからだが、その1つが崩れてしまっているのが現状だ。

ヒナが育って卵を産むまでには半年かかり、数が完全回復するには1年半はかかるということで、関係者もこの状況は「未曾有の事態」と話し、先行きは全く見えないと言う。

卵の高騰で、卵を原材料とするマヨネーズも値上げになる。

キユーピーは現在、マヨネーズ450グラムを税込み475円で販売しているが、4月1日出荷分からは520円に値上げすることを発表した。

供給制限はしない方向だが、主原料の卵はもちろん、塩なども上昇する中、こちらも価格の今後は見えないと言う。

(東海テレビ)

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