審議の結果は“またしても示さず

午後4時過ぎの成田空港のカウンターに姿を見せたのは、警視庁の捜査員約15人。
逮捕状が出ている4人の身柄引き渡しを受けるため、フィリピンに向かった。

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“ルフィ”などを名乗り、相次ぐ強盗事件を指示したとみられる4人の容疑者がいるフィリピン・マニラ。

6日、注目の審理が行われた裁判所は、毎週月曜恒例という演奏会が開かれ陽気な音楽に包まれていたが、その横には多くのメディアが詰めかけていた。

午前10時前、その鍵を握る裁判が大詰めを迎えた現地には、渡辺容疑者らを担当するエルジュン・リコ弁護士が到着した。

元妻らから、女性と子供への暴力をめぐり、フィリピン国内で告訴されている渡辺優樹容疑者(38)と小島智信容疑者(45)。

フィリピン司法省は、強制送還を遅らせるための“虚偽の告訴”だとして取り下げを申し立てたが、先週の裁判では即時棄却とはならず、6日に再び審理が行われることとなった。

審理には、渡辺容疑者の元妻らも出廷。

裁判が棄却されれば、送還への障害がなくなり、4人一斉の身柄引き渡しが可能になるのだが、裁判所は審議の結果をまたしても示さず、結論が出ないまま裁判所の前は大混乱となった。

――裁判の棄却は?

エルジュン・リコ弁護士:
いいえ、まだです。まだです。裁判所の判定を待っている。次の公判は7日と言われた。
裁判所は棄却しませんでした、あす再び続きが行われる。

藤田容疑者の告訴状に「他人の住所」?

結論が出ないまま、時間だけが過ぎていく状況。

一連の裁判は実際に“虚偽の告訴”なのだろうか。
その実態を探るべく、藤田聖也容疑者(38)が元妻から訴えられ、先週末に棄却された裁判の取材を進めたところ、意外な事実が浮かび上がってきた。

告訴状に書かれた元妻の住所を頼りに向かったのは、マニラから飛行機で1時間以上のところにある離島・ネグロス島の村。

藤田容疑者に見覚えがないかを聞くと…

告訴状に書かれた住所の近所に住む人:
知らないです。同じ住所だけど、たぶん枝番が違います。


“告訴状の住所”の家に案内してもらったところ、住んでいたのはまったくの別人だった。


告訴状に書かれた住所の住人の家族:
私のおばがここに住んでいるが、今はドバイにいる。日本人の名前は知りません。

なぜ告訴状に他人の住所が記載されていたのだろうか。

この藤田容疑者の元妻による裁判は「証拠が不足していて説得力がない」として棄却されている。

今村・藤田両容疑者を7日強制送還へ

フィリピンのレムリヤ法相は、渡辺容疑者を弁護するリコ氏が裁判の取り下げに反対する姿勢を示していることについてこう述べた。


レムリヤ法相:
なぜか日本で罪を償うより、ここに残りたいというなんともユニークな状況。
明日2人だけの可能性はあるが、できれば4人の完全な送還をしたい。


リコ弁護士は先ほど、渡辺容疑者らがいる収容施設に面会に訪れ、報道陣に対応した。

エルジュン・リコ弁護士:
現在裁判所の判定待ちであり、明日裁判が行われるかはその結果次第で決まる。

――容疑者とは?

エルジュン・リコ弁護士:

これから面会します。

このような中、レムリヤ法相は先ほど、裁判を抱えていない今村磨人容疑者(38)と、藤田聖也容疑者(38)のみを7日強制送還することを明らかにした。



ジャーナリスト・柳澤秀夫氏:
2月8日、フィリピンのマルコス大統領初めての日本訪問がありますよね。それまでにこの送還問題は決着させたいというのが本音だと思うんですけど、今のこの状況を見ていると、フィリピンでよく見る“見せ場を作っているようなシーン”に思えないこともないなと。

宮司愛海キャスター:
容疑者に関して4人同時ではなく、先に2人が送還された場合、どんな影響が出ると考えられますか?

ジャーナリスト・柳澤秀夫氏:
普通、逮捕後48時間以内に送検、そして20日以内に起訴ということなんですけど、4人一緒の方がいろいろな司法手続きをしやすいということがあるので、捜査当局としてはやはり一斉に逮捕して送還という形に持っていきたいんだと思います。

(「イット!」2月6日放送分より)