全国で相次ぐ強盗・窃盗事件を指示した「ルフィ」を名乗る指示役とみられる4人の容疑者に便宜を図ったとして、フィリピンの収容所トップが更迭された。

こうした中、フィリピン政府が4人のうち、藤田容疑者と今村容疑者だけ先に6日にも送還する可能性が出てきた。

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朝から多くの報道陣が詰めかけた、フィリピン・マニラ郊外にあるタギッグ裁判所。

4人の容疑者のうち、3日は藤田聖也容疑者(38)の裁判が開かれる予定となっていた。

しかし、3日午前、報道陣の前に裁判所の職員が現れ、騒然とする中「裁判は行われない」と説明があった。

裁判所職員:
被告は“フジタトシヤ”。

――裁判は?

裁判所職員:

公判は行われない。2月1日に判決が出ています。

フィリピン国内で、脅迫や女性と子どもへの暴力で告訴されていた藤田容疑者。

しかし、脅迫については正当な理由の欠如を理由に棄却。さらに暴力をめぐる裁判についても「証拠が不足していて説得力がない」として棄却されたことが分かった。

これで藤田容疑者の日本送還が可能になったが、その時期はいつになるのだろうか?

フィリピンのレムリヤ法相は、4人のうち藤田容疑者と今村磨人容疑者(38)とみられる2人を、来週月曜日(6日)にも送還するという考えを示した。

レムリヤ法相:
今わかっているのは、来週には送還を始めるということ。月曜日に開始できたらいいと。

逮捕時には“主犯格”渡辺容疑者も同じ場に

藤田容疑者は2021年2月、マニラから約100km離れたビーチリゾートでフィリピン当局に逮捕されている。

逮捕された当時の映像を見ると、突然捜査員に声をかけられ、白い帽子をかぶった藤田容疑者が立ち上がる。

その後、携帯電話で誰かと話そうとするが捜査員が制止し、パスポートの提示を求めた。

このリゾートには、一連の事件の“主犯格”とされる渡辺優樹容疑者も訪れていたという。

しかし、警察が踏み込む直前になってその動きを察知したのか、渡辺容疑者と一緒にいた女性の2人だけがこの場を去り、逮捕を逃れたという。

――藤田容疑者と渡辺容疑者が一緒にいた?

リゾート施設の従業員:

そうだ、一緒に食事をしていた。(渡辺容疑者と一緒にいた)女は携帯電話で男と話していた。電話の後、渡辺容疑者と女は去った。その後警察がやってきた。

しかし、藤田容疑者の逮捕から2カ月後の2021年4月、渡辺容疑者も当時長期滞在していた5つ星ホテルで逮捕されている。

スイートルームで開いた自らの誕生パーティーの最中に踏み込まれた渡辺容疑者。日本円で約1億2000万円の賄賂を提案したものの、警察官に拒否されたという。

阻む“裁判の壁” 長期化の恐れも…

一方、渡辺容疑者と小島智信容疑者(45)の身柄引き渡しには、“裁判の壁”が立ちはだかったままとなっている。

現地では、渡辺・小島両容疑者が元妻らから告訴された暴力をめぐる刑事裁判の審理が行われ、即時棄却とはならず、次の審理が7日に設定された。

一連の裁判についてレムリヤ法相はこれまで「強制送還を逃れるための虚偽の告訴だ」としていたが、3日になって「女性に対する暴力は大変な重罪」と話すなど、女性への暴力問題には慎重の審理が必要との考えも示していて、裁判が長期化する恐れも出ている。

フィリピンのマルコス大統領の来日が8日に迫る中、不透明な状況が続く4人の送還。

こうした中、4人が入る収容所では施設の職員らが4人に便宜を図っていたとして、フィリピン司法省は収容所のトップを更迭し、職員36人を交代させた。

収容所では、3日新しいトップが施設内を視察したとみられている。

指示役「ルフィ」をめぐる連続強盗事件の余波は、フィリピン国内をも揺るがしている。

(「イット!」2月3日放送分より)