無病息災などを願う獅子舞。新潟県村上市では、19の町内にそれぞれ伝わる獅子舞が一堂に会するイベントが初めて開かれた。

真冬に村上市内の“獅子舞”が集結!

2023年1月29日、雪に包まれた村上市で披露されていたのは、寒さを吹き飛ばす熱気に満ちた獅子舞。

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獅子舞を見た人:
素晴らしい。感動して、涙が出た

厄を払い、無病息災や五穀豊穣などを願う獅子舞。この日は、城下町・村上の19の町内それぞれに数百年にわたって伝わる獅子舞が一つの場所で披露された。

獅子舞を見た人:
やっぱり壮観。これだけあると

獅子舞を見た人:
すごく厄を払ってもらえそうで、新型コロナもやっつけてくれると思う

そもそも、村上の城下町に伝わる獅子舞は、結婚式などの祝い事に呼ばれる以外、冬に見ることはない。

富樫裕子さん:
本来は8月16日・17日、村上の七夕祭りで披露される

今回、「獅子舞の宴」を発案したのは、地域コーディーネターとして様々なイベントなどを企画している富樫裕子さん。

その思いは2022年、各町内から獅子舞の代表者が集まった会議で話された。

富樫裕子さん:
村上の七夕祭りは約300年の歴史がある。その中、新型コロナ禍で歴史が切れた状態

村上の七夕祭りは、新型コロナウイルスで2020年から2年連続で中止。2022年は規模を縮小しての開催となった。

富樫裕子さん:
飢きんや流行病を乗り越えて、獅子舞が現在に伝わった流れを止めてはいけないと思って

後継者不足も… 「村上の伝統・文化引き継ぎたい」

2022年の夜、村上市鍛冶町で行われた「獅子舞の宴」に向けた練習。参加者に高齢者はいない。

「獅子舞の宴」に向け練習
「獅子舞の宴」に向け練習

鍛冶町 高橋匠さん:
鍛冶町は35歳で獅子舞を引退する区切りがある

地域の青年会などを中心に行われる獅子舞は、少子化に加え、進学や就職で若い世代が地域を離れることなどから参加する人が減っている。

富樫裕子さん:
「獅子舞の宴」を若い人のために絶対成功させたい

地域への思いからイベントを企画するが、もちろん開催には運営費用が必要となる。

その運営費の協賛に手を上げたのは、埼玉県の大学を卒業後、村上市に戻り、父親の自動車店で働く中山涼さん。鍛冶町の獅子舞に参加している。

中山涼さん:
村上の伝統と文化を引き継いでいきたい。

県内を寒波が襲った2023年1月25日の夜。獅子舞の練習に熱を帯びていたのは塩町。その様子を「獅子舞の宴」を発案した富樫さんが見学していた。

富樫裕子さん:
この冬一番の寒波だけど、どの町内の人も練習していると思う。本当にありがたい

熱い舞を披露する獅子舞 イベントのため帰省した人も!

そして、迎えた1月29日の本番。会場には、願い事を書いた短冊も飾られ、夏の七夕祭りの雰囲気が演出される中、各町内の獅子が入れ替わりながら真冬に熱い舞を披露していく。

会場には短冊も
会場には短冊も

鍛冶町で仲間と練習していた中山さんだが、残念なことが…

中山涼さん:
獅子舞のための人が集まらなくて、踊れなくなってしまった。一番出たい気持ちはあるけど、悔しい

獅子舞に参加する若者が不足し、19の町内のうち5つが獅子頭の展示だけとなった。それでも、うれしいことが。塩町の獅子舞に参加した池田直さんは、東京からこのイベントのために帰ってきたという。

池田直さん:
地元で若い人が減っているので、町内のために頑張ろうと東京から帰省した

村上が大好きな若い世代がつなぐ未来。若手の不足に、新型コロナウイルスによる活動の制限を乗り越え、地域の平安を願う獅子舞だ。

獅子舞に参加した人:
気持ちよかった。笑顔を届けられたので

獅子舞に参加した人:
いい年になればと思う

富樫裕子さん:
気持ちいい。最高。これが村上の七夕祭り

夏の七夕祭りに向けて、冬に踊る獅子舞が春を引き寄せる。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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