味は美味しくても調理が難しい”未利用魚”の漁獲量が年々増えている。どう調理したら美味しくなるのか?新潟県長岡市で行われている、「未利用魚」の活用に向けた取り組みを取材した。

多くが廃棄される「未利用魚」

長岡市の寺泊漁港では、年間約317tもの水揚げのうち、3分の1にあたる100tほどが未利用魚として廃棄されていて、その活用が課題となっている。

寺泊漁港(長岡市)
寺泊漁港(長岡市)
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そもそも、なぜ未利用魚がとれてしまうのだろうか。

長岡市地域おこし協力隊 服部祥吾さん:
狙った魚だけがとれるわけではない。市場に出回らない魚が未利用魚となる

年々、漁獲量が増えているという未利用魚。一度網にかかった魚は、再び海に戻しても死んでしまうため、漁師も頭を抱えている。

未利用魚
未利用魚

寺泊漁業協同組合 栗田哲也さん:
未利用魚の発端は「エソ」という魚。以前は近海ではとれなかった魚だけど、温暖化のせいか、海水温が上がり、こちらまで流れてくるようになった。なかなか骨が多く、調理・使い方が難しい魚

未利用魚の「エソ」
未利用魚の「エソ」

それでも、未利用魚をおいしく食べている地域もある。

寺泊漁業協同組合 栗田哲也さん:
基本的には、漁師さんが家に持って帰って、まかない飯じゃないけど食べてはいる。とれる量が多すぎて消費しきれないし、単純に廃棄するのはもったいない

では、一体なぜ、未利用魚は出回らないのだろうか?

(Q.未利用魚はある?)
鮮魚店:

ないですよ

(Q.見たことも聞いたこともない魚は食べない)
鮮魚店:
だから、仕入れない・売らない

鮮魚店では…
鮮魚店では…

おいしく食べる方法が周知されていないことに課題がありそうだ。

長岡市地域おこし協力隊 服部祥吾さん:
未利用魚に価値がないわけではない。うまく活用すれば、おいしく食べられるというものが多いので、そこはうまくすくいあげるような仕組みを地域の中でつくり、食卓で食べられるようになると解決できるのでは

そこで、長岡市内の店舗6店舗で未利用魚を食べられるキャンペーンを開催。

その参加店舗の一つ、日本料理「うおへん」では、川にのぼって脂身が少なくなったブナサケを焼いて、ほぐして、味付けをしてフレークに。炊き立てのご飯と一緒に食べると、とても廃棄する魚とは思えないおいしさだ。

日本料理うおへん 高橋賢さん:
やりがいはある。実際のところ、見たことがないような魚もいっぱいあるので、おいしく食べるには、我々の経験が役に立つかな

ほかにも、ぼうずイカの山椒煮など、未利用魚は調理法次第で活用の幅が大きく広がる。

長岡市地域おこし協力隊 服部祥吾さん:
長岡の地域の中で、持続可能に生産可能な資源を有効に活用する。それを大きくまとめて、バイオエコノミーという形で産業を発展させていければと考えている

本当はおいしい海の資源をどう生かすのか、挑戦が続いている。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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