新型コロナに関する知事会見・対策会議に手話通訳者を配置

聴覚障害者(ろうあ者)の坂本和也さん:
(手話通訳者がいないと)県の会見を見ても、どんな内容を話しているのか分かりませんでした

佐賀県は4月28日から、新型コロナウイルスに関する知事の会見や対策本部会議に、手話通訳者を配置している。

こちらは導入前、4月20日の知事会見の様子。

山口知事:
きょうは、対新型コロナウイルスに関して、佐賀県の緊急事態措置についてご説明したいと思います

​聴覚障害者は、発言している人の口の動きからも、ある程度意味を理解するが、マスクをつけると口元が見えなくなり、情報が伝わらない。

このため、県内の聴覚障害者団体と県聴覚障害者サポートセンターが、県に対して手話通訳者の導入を要望していた。

県障害福祉課 江藤紀章係長:
新型コロナウイルスに関する情報というのは、命にかかわる情報でもありますし。(聴覚障害者も)リアルタイムで情報を得る必要があると判断しまして、記者会見等に手話通訳を同席させることにしました

“命に関わる情報”だからリアルタイムで 手話通訳者の重要性

県はこれまでにも、配信された会見の動画に字幕をつけるなどの対応を行ってきた。

しかし、この作業は民間に委託していて、字幕をつけるまでに、平均で1日から2日、長い時で1週間ほど時間がかかる。

一刻を争う場合は、手話通訳者の存在が重要となる。

会見に同席する手話通訳者の一人、県手話通訳士協会の香田佳子会長。

県手話通訳士協会 香田佳子会長:
新しい手話表現をいつも使っても、それを聞こえない人たちが知らない時もあるんですね。分かりやすく表現して、伝えることが大切になってきます

会見では、「新型コロナウイルス」、「クラスター」、「PCR検査」など、専門的な言葉も出てくるため、新たに出てきた言葉をわかりやすく手と口の動きで伝えるかが重要。

深刻な人材難 県内の会員数はわずか8人、全国最小

一方で、深刻な人材難にも直面しているという。

県手話通訳士協会 香田佳子会長:
人材育成というのがとても求められている。さらに情報保障の担い手になりたいと思う人が増えてほしいなと思っています

2018年に設立された県手話通訳士協会の現在の会員数は、全国最少のわずか8人。
その全員が30代以上。

県庁から遠くに暮らす会員もいるため、実際会見に同席できるのは5人。

県手話通訳士協会 香田佳子会長:
早い時は(会見の)1時間とか2時間前に、(県の)担当者から電話がかかってきます。知事の会見とかは、いつあるのか分からないので

会見には原則2人1組で臨むため、5人での対応は負担が大きい状況。

また、感染のリスクもあるという。

聴覚障害者は、手話通訳者の手や口の動きから意味を理解するため、感染防止策の1つ、フェイスシールドはつけていない。

岡山県の総社市のように、感染対策として会見では手話通訳者が別室で手話通訳を行い、モニターで伝える方式をとっている自治体もある。

県が記者会見に導入して1カ月がたとうとしている手話通訳。
現在県内には、聴覚障害者が3600人ほどいると言われている。

新型コロナウイルスの第2波、第3波が懸念される中、深刻な人材難にどう対処するかなど、手話通訳の体制には課題がある。

(サガテレビ)