対面の「語り部」が難しい…新たな手法へ

新型コロナウイルスの影響で、東日本大震災の「語り部」の活動も大きな制約を受けている。
経験をどう伝えていくのか、若者たちを中心に新たな取り組みが始まった。

宮城・石巻市にある、公益社団法人「3.11みらいサポート」の拠点。

動画で東日本大震災の経験を伝える「みらいサポート」が今、取り組んでいるのは、東日本大震災の経験を伝える「語り部動画」の制作。

3.11みらいサポート・福田貴史さん:
新型コロナウイルスの影響で、語り部さんがお客さんと面と向かって話ができないということで、語り部さんの活動を継続していくために、新しい手法を検討して動画にしようと思い立った

若い世代の発想で伝承途切れさせず

語り部の動画配信。
この取り組みには、“若い世代”が大きく関わっている。

動画での発信を考えた、永沼悠斗さん(25)。
永沼さんは東日本大震災で、児童74人、教員10人が犠牲になった石巻市の大川小学校で、当時小学2年生の弟を亡くした。

時が経ち、自身も大川小学校で震災を語り継ぐ活動を行っていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、語り部ができない状況に追い込まれた。

永沼悠斗さん:
自分たちが震災伝承をやって、積み重ねてきた機会が奪われているので、それをどうにか動画にできないかなと

活動できない日々を過ごす中、思いついたのが動画での発信だった。
この日は、「みらいサポート」のスタッフとともに、語り部の動画撮影に臨んだ。

永沼悠斗さん:
この動画は最初に宮城・東松島市という説明が入る予定なので、そう言ってもらえるとありがたいかな

普段は自身も語り部活動を行う永沼さんだが、今回の役回りは、撮影とまとめ役。
本格的に動画を作っていく作業は初めての経験。

「語り部」も若い世代が担う

語り部を行うのも“若い世代”。
武山ひかるさん(19)。
東松島市で、小学4年生の時に被災し、高校1年生から語り部活動を続けている。

武山ひかるさん:
今いる場所は写真のちょうど船が写っている場所。みなさんも何かあったらというのを考えて、大きな地震があったら海の近くから離れることを大切にして過ごしてほしい

永沼悠斗さん:
大丈夫そうです!

最初の撮影を無事に終えることができた。

「語り部」をいつでもどこもで

武山ひかるさん:
動画での語り部の一番良いところは、いろんな人が、どんな時間でも見られること。自分に何かできることを今だからやるということが一番伝えたいこと

永沼悠斗さん:
(新型コロナウイルスが)どこが終息かというのもまだわからない中で、ただ、この震災10年目というところを伝えないといけないってところもありました。(動画は)これから先、コロナウイルスが終息した先に、語り部活動をやるときにも生かせると思っているので、プラスに捉えてやっていきたい

東日本大震災の経験を人から人へと語り継いでいく語り部活動。
新型コロナウイルスにより活動が制限される中、“若い世代”が新たな道を切り開いている。

永沼さんたちが制作した語り部動画だが、「3.11みらいサポート」のウェブサイトが5月26日に公開された。動画は11分34秒にまとめられている。
みらいサポートは第2弾の動画の制作を調整中だという。

(仙台放送)