自民党の石破茂元幹事長は5月23日、テレビ西日本の報道番組「福岡NEWSファイル CUBE」に出演。新型コロナウイルスをめぐる一連の政府対応に言及した。

中国からの入国を制限した時期や感染が拡大したクルーズ船、PCR検査態勢などについて、早期の検証が必要との認識を示し、「第2波、第3波が来たときに、また同じことが起きてはならない」と指摘した。

また、政府が定年延長した黒川弘務東京高検検事長が、緊急事態宣言中に賭けマージャンを行った問題で辞職したことについて、「(安倍政権が)必要不可欠だと言っていた人がいなくなった。どう補充していくかを答えないと、つじつまが合わない」と述べた。

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「こうやっておけば」ということはたくさんあった

ーーコロナの対応で最大の問題点はどのあたりと思うか。

自民党 石破茂元幹事長:
(今後)検証しないといけないが、中国からの入国をもっと早く制限しないといけなかった。国内で初めての患者が確認されたその後に、中国の日本大使館のホームページで、「どうぞ中国から皆さん来てください、春節ですよ」って総理の名前で載せて、大勢の人がやって来た。ダイヤモンド・プリンセスでのPCR検査も徹底されなかった。降りた人は、一般交通機関を使って帰っていった。「東京マラソン」のお客さんはいないけど、(その最中にマラソン大会は)開催されたわけですよね。「あそこでこうやっとけば」ということは、たくさんあった。しかし、「多分これはやっても大丈夫だろうな」というのが多かったのかもしれない。済んだことは元には戻らないが、「もし中国からの入国をもっと早く制限していれば」、「ダイヤモンド・プリンセスの検査を徹底して、公共の交通機関に乗らせなければ」、そういうことがいっぱいありますよね。

自民党 石破茂元幹事長:
そして、マスクが行き届かないというのもありますが、何よりも総理が「PCR受けたい人は受けられるようにしますよ」とおっしゃったはずなんだけれども、それが全くと言っていいほど増えなかったのは、一体なぜか。総理は、根詰まりが起こっているということをおっしゃっていましたよね。その根詰まりが起こっていることを解消するために強力な政権があるはずで、PCRにしてもアビガンにしてもそうですが、総理がやると言ったことがなぜ行われないか、これは検証しないとだめですよね。一国の最高権力者が「やるぞ」と国民のために対して言ったことが、なぜ実現されないのか。それは、今のシステムそのものに相当な問題があるというふうに考えなければならない。そういうことの検証は絶対に必要だし、改めるべきところは改めないと、第2波、第3波が来た時にまた同じことが起こるといういうことは、絶対あってはならないと思う。

ーー雇用調整助成金の手続きが煩雑過ぎて諦めたという声まで出ている。その間に解雇されて生活が立ち行かなくなった人もいる。これはある意味、人災の部分もあるのでは? その責任というのはどこに?

自民党 石破茂元幹事長:
行政は「不正があってはならない」、「公平でなければならない」という価値観が最優先されるが、それは平時の話。今みたいに、本当に有事に近いことになると、多少、不公平があったにしても、「やる! 責任は政治が取るんだ。行政には取らせない、政治が取るんだ」とその一言があれば、随分変わったと思うんですね。どうやって大勢の人を迅速に救うんだ、そのことが大事なんだというメッセージが政治から、総理からあれば、対応は全く違ったと思います。

国民をなめてはいけない

ーー政府は一体何をしているんだという不満、不安、憤懣(ふんまん)というのを抱いている人というのは、たくさんいるのでは?

自民党 石破茂元幹事長:
今すぐ選挙区へ帰ることができないので、有権者の生の怒りとか憤懣とか、そういうことを(直接)感じられないでいるんだけど、電話とかメールとか見てたら明らかに違いますよね、今までと。その不安が不満になって来たということですよね。自民党を中核で支えてきた人ほど怒っている。これは今までに全くない。われわれ政治家というのは、責任取るためにいる。責任は、責任を感じるというのと責任を取るというのは別の話であって、責任を取るために、われわれ政治家はいる。で、行政官たちは法令に従って緻密に仕事をするけれど、先ほど申し上げたように、どうしても不公平とか、どうしてもそういうことが出るんでしょう。「不公平な人もいるんだ、だけど責任は取るんだ」ということ。感じるんじゃなく、取るんだという、そのことをはっきりしないといけなかったなと。私も人ごとじゃない、政府与党の一員ですからね、そのことは自分の責任だと思って、よく顧みなければいけない、国民をなめたらいかんです。

ーー第2波を防がなければいけない中で、今後の感染拡大を最小限に抑えるために石破さんが考えている防疫対策というのは?

自民党 石破茂元幹事長:
それは、検査の体制を徹底することだと思いますね。どこで何が起こっているか分からないのに、対策の打ちようがないじゃないですか。そのことが分からないと、対策の打ちようがない。先ほど申し上げたように、なぜPCRの件数が進まなかったのか、OECD(経済協力開発機構)の中でビリから2番目、じゃなかったかな、どうしてこんなことになるの? ほかの国でできることがどうしてできないのか。PCRをもっとやれば、現場が混乱をするとか、あるいは医療従事者が感染の危険にさらされるとか、あるいは擬陽性、間違った判定をすることがあるとか、いろんな理由を述べられるけど、どれも理由になっていないわけ。やはり検査の徹底ということは第一だと思う。どこで何が起こっているか分からなくて、明確な、適切な対応のしようがない。その原点に立ち返らなければならないと思っています。

つじつまが合わないことはやってはいけない

ーー政府が定年延長した黒川弘務東京高検検事長が、緊急事態宣言中の賭けマージャン問題で辞職しました。閣議決定にあたって、森法相は「黒川さんが不可欠だ」ということを理由に挙げています。ということは、黒川さんが辞任したということは、この閣議決定は取り消すべきでは?

自民党 石破茂元幹事長:
取り消しちゃうということになると、黒川さんが在任していた期間に黒川さんがやったいろんな検事長としての行為をどうするんだという問題があって、逆に、法的な安定性というものは覆されるという恐れがある。必要不可欠な人と言っていた人が居なくなったわけです。理由はともかくとして、黒川さんでなければできないことがこんなにたくさんあります。そういう捜査をきちんとしなければ、正義は実現できません。国民に不利益が及びますというふうに言ってた訳で、黒川さんがいなくなったことで大変なことが起こるはずなんです。必要不可欠な人だったから、それをどのようにして補充していくか答えないと、つじつまが合わない、だって、必要不可欠な人だったんだから。
国会答弁というのは、私も至らないことは多々あるんだけれども、つじつまが合わないということはやってはいけない。ほころびが出始めると、どんどんあちこち瓦解(がかい)していく。そういう政府の在り方というのは、私は与党の一員として、野党に言われて修正するのでは与党の意味がないからね、与党の中から修正しなければいけないし、自分が指摘をして来なかったことには反省しています。

ーー総理が「責任ある」と言いながら責任を取らないことが、政治の不信を招いていると思いますが、今回、総理の責任の取り方というのはどういうふうにみてらっしゃいますか?

自民党 石破茂元幹事長:

総理は、検察に対する信頼を回復するという、それが責務だとおっしゃっている。それは良としましょう。私も大臣だった時に、イージスがぶつかったり、前の事務次官が逮捕されたりとか、いろいろと国民に対して責任を取らなければならないことがありました。一つのけじめがついたならば、その職を辞するということも一つの在り方だと思う。ただ、普通の大臣と内閣総理大臣とは違うから。「責任を痛感しています」ということが、本当に国民の心に響くということが大事じゃないか。わが身を省みてそう思う。

自民党が見放されるという危機感を持つべき

ーー次の政権というものをにらんで動かなくてはいけない局面に入ってきているのでは?

自民党 石破茂元幹事長:
われわれ自公政権として、国民がおかしいよねと思うことに与党の中から指摘がされないということ自体が、誰が次の政権を担おうとも、こういう体質が実に良くないと思っている。モノを言うとポスト外されちゃったり、選挙で応援してもらえなかったり。官僚に対してもそうだけど、政治家に対してもそういう統治の仕方というのは、本当に良いのかと思っている。私も政治家になって34年になるけど、確かに、お金とか選挙応援とかポストとか、そういうことで党内を統制するということはあったけれども、やはり、そこには一定の限界というものがあった。けじめというものがあった。それが外れちゃって、それだけで国会議員を動かすということになると、国の統治そのものが揺らいでくる。昔、伊東正義先生が、「表紙だけ変えたって駄目」とおっしゃいました。宇野総理が辞めて、その次誰に、竹下総理が辞めて誰にするか。表紙だけ変えても駄目、中身が変わらなければ意味がないんだと(伊東正義先生が)おっしゃったことを今、思い出してる。次にドロドロとした権力闘争をしても、本当に自民党見放される、そういう危機感を、われわれ自民党は持つべきです。
コロナウイルス対策は検証しなければ駄目だと言いましたが、「皆一生懸命やってるから良いじゃないか」というのは、身内の理屈であって、国民はそうは思っていない。第2波、第3波が来た時に本当にこれで大丈夫なのか? あの時(春節前)に「どうぞ皆さん来てください」と言ったのは間違っていたんじゃないのか? もっと早く入国制限するべきじゃなかったのではないのか? ダイヤモンド・プリンセスを徹底的に検査するべきじゃなかったのか? そういうことをやったうえでないと、表紙だけ変えたことになってしまう。だから検証というものがあって、何を変えなければいけないか、国民の前で明確にする。そうじゃないと、被害者は国民になってしまう。何のための政治だという話になる。

ーー今回は、表紙は変えなくて良い?

自民党 石破茂元幹事長:
表紙だけ変えたって駄目だということを申し上げているのであって、表紙だけ変えるのは自民党員、自民党の国会議員が決めることだから、私が、わーきゃー、ここでいうことではない

(テレビ西日本)

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