新型コロナウイルスの収束がなかなか見通せない中、オンラインを活用してコロナ禍に苦しむ人たちに寄り添うお寺が、広島県福山市にある。

閉塞感が漂う毎日だからこそ、「心の平穏」を実現しようと、精力的に活動する若き住職に密着した。

若手住職が務める「崇興寺」 勉強会の中止や「月参り」が減少

福山市の閑静な住宅街の一角にある崇興寺は、1671年に建立された浄土真宗のお寺「崇興寺」。

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寺の住職を務めるのは枝広慶樹さん。先代から寺を継ぎ、2020年で12年、34歳の若手住職。

門徒の数は約350世帯あり、家に直接出向いてお経を読む「月参り」の法要は、住職の大切な仕事。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、「月参り」の件数は大幅に減少。これまでの5分の1ほどになった。

さらに、寺に地域住民を招いて行っていた勉強会などの行事もすべて中止となり、地域と関わる機会を奪われてしまった。

新しい取り組みへ LINEの電話相談をスタート!

そんなもどかしさが続く中、4月、住職は新しい取り組みをスタートさせた。

「コロナ禍で、不安を抱く人たちに何とかして寄り添う方法はないか?」

そんな思いから住職は、無料通信アプリ「LINE」を使った無料の電話相談を始めた。

相談は1回90分で、仕事を失う不安や家族内での人間関係といった相談が多いという。苦しみに共感し、住職としての経験や仏教が導く教えから、優しくアドバイスを伝えていく。

若者に向け導きを…ユーチューバーとして動画配信を開始

新たに始めたのは、電話での相談だけではない。

なんと住職は、ユーチューバーとして動画の配信も始めた。普段、寺との接点が少ない若者世代に、少しでも仏教に関心を持ってもらおうと思ったのがきっかけだった。

仏教やお寺に関する解説が主な内容だが、気構えずに見てもらえるよう試行錯誤しながら配信している。

どんな苦しい状況にあっても新たな活動にチャレンジする住職には、門徒からも厚い信頼が寄せられている。

門徒:
動画見させてもらって、すごい楽しい。お寺がなくてもいいような時代が来てるのにかかわらず、住職はどうやって立ち直らせようかという力を持っておられる方ですね

古くから人々の心に寄り添ってきたお寺。この先、時代が変化しようとも多くの人の心の支えとなるため、お寺の新たな可能性を模索する住職の挑戦は続く。

崇興寺 枝広慶樹住職:
LINEの相談窓口を設けてみたり、新しく発信することで、そこで繋がるご縁もたくさんあって、実際にはお寺を必要とされてる方っておられるんだなと思いました。まだまだできないことや、やっていないことが山ほどあるので、いろいろさせていてだいて、挑戦していきたいなと思います

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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