新潟市は、近年増える突然の大雪に「地域の力で備えるよう」呼びかけている。背景にあるのは、「極端化」。都市部で求められる備えを取材した。
雪の極端化「大雪は災害」
近年襲う突然の大雪。
記者リポート(2018年):
あちら、田んぼの真ん中に止まっている電車が立往生した電車です
2018年には、下越を中心に大雪となり、信越線が立往生。
この記事の画像(23枚)2020年には…
記者リポート(2020年):
車が渋滞し、立往生しています。前に車が進む気配はありません
関越道で車約2100台が立往生するなど、大雪による交通への影響が相次いでいる。
こうした中、新潟市が呼びかけるのは…
新潟市 土木総務課 小野寺充 主査:
地球の温暖化によって、雪の降り方が非常に極端化している。「大雪は災害」だと、市民にご理解いただけたらと思う
新潟市が7月にまとめた除雪体制に関する提言書に明記されたのは「極端化」という文言。
新潟市 土木総務課 小野寺充 主査:
令和2年度の雪も10日間で150cm以上の降雪を記録している。雪の降り方が短期間に急激で、我々は「異常降雪」と呼んでいる
2021年1月の大雪では、新潟市の8区の平均累計降雪量が10日間で150cmを記録。短期間に多くの雪が降ったことで、鉄道やバスなどの交通網が麻痺する事態に。
逆に2019年度は8区の平均累計降雪量がわずか4cmと、雪の降り方は極端だ。では、一体なぜ、新潟市が異常降雪と位置づけるような大雪は起きるのだろうか?
なぜ大雪に?
北西からの季節風が日本海上でぶつかり、雪雲が起きやすくなる場所JPCZに加えて、ラニーニャ現象により上空に寒気が入ってくるため、大気の状態が不安定になることで大雪となる。
大雪の要因は海にもある。普段より、海面水温が高いと、より水蒸気が供給されるため、雲が発達しやすくなる。
2018年から2021年にかけて発生した大雪では、このJPCZ・ラニーニャ現象・海水温の上昇という3つの条件が揃っていた。
2022年はすでにラニーニャ現象と海水温の上昇が確認されているため、大雪への注意が必要だ。
〈自助〉外出自粛や備蓄の準備を
新潟市の提言をまとめたメンバーで、長岡市にある雪氷防災研究センターの上石勲さんは極端化の備えについて…
雪氷防災研究センター 上石勲 特任参事:
テレワークや少し行動を変えて、できるだけ車の利用を避ける
2020年の関越道の立往生などを念頭に、異常降雪が予想される場合の外出の自粛を呼びかける。
飛田厚史アナウンサー:
雪への備蓄は水・食糧に加え、こんなものも…
新潟市 防災課 鈴木龍之介 主事:
雪が降るのに備えて、カセットコンロやカセットガスを家で備蓄するのも重要になる
新潟市は大雪による停電などへの準備も呼びかけていて、数百円程度で販売されているアルミ製のブランケットなども防寒対策としてオススメだという。
飛田厚史アナウンサー:
羽織ったとたん、暖かいです
ただ、こうした自助以外にも必要なものがある。
〈共助〉地域で行う除雪 除雪機の支援も
雪氷防災研究センター 上石勲 特任参事:
行政の手が回らないところもある。地域の方にお願いして、コミュニティーの方に除雪していただく
新潟市が除雪を行う道路の総延長は約4900km。2022年度は契約する除雪車も2021度を上回る1020台を確保しているが、それでも異常降雪時には手が回らず、地域の力が欠かせない。
2021年の異常降雪でも自治会が除雪を行う姿が。こうした活動を後押するため、新潟市は手押し式除雪機合わせて73台を市内の団体に貸し出している。
飛田厚史アナウンサー:
除雪機での作業は、慣れが必要だとは思います
しかし、希望する団体すべてに行き渡らないのが現状で、市は除雪機購入の補助を行うなどして地域での除雪を支援している。
雪氷防災研究センター 上石勲 特任参事:
一緒になって大雪対応をしていただく
大雪は災害・極端化の時代を迎え、自助・共助がさらに重要度を増していると言えそうだ。
(NST新潟総合テレビ)