特例措置として処方箋薬の宅配サービス
4月から始まった初診でのオンライン診療。都内のクリニックを取材させてもらうと、パソコン上のテレビ電話のような形で、オンライン診療が行われていた。
クリニック フォア田町の医師:
症状ですけれど、もう少し詳しく教えていただいてもよろしいですか?
オンラインの患者:
鼻が少しムズムズしたりですとか、目がかゆいという症状があります

それに伴い調剤薬局にも変化が…その名も「とどくすり」。その内容とは?
東京都内にある「ファーブケア薬局」を取材させてもらうと、病院から1通のファクスが届いた。

「とどくすり」とは、処方された薬を自宅へ宅配してくれる新たなサービスのこと。

薬を受け取る際は患者が処方箋の原本を薬局に持参し、薬剤師が対面で服薬指導を行うのが通常だが…

新型コロナウイルスの感染防止のため特例措置として、薬剤師が初診から電話などでの服薬指導をしたうえで薬局側から自宅へ薬の配送してもらうことが可能になったのだ。

電話での服薬指導のようすは…
ファーブケア薬局 薬剤師・中川聡さん:
今回おかかりの理由がおそらく花粉症かなと思うんですけれど、副作用としてやはりアレルギーのお薬だと眠気が出てしまうので普段、車の運転とか自転車の運転に気をつけていただければと

「とどくすり」サービスのメリットは感染リスクの軽減だけではないという。
ファーブケア薬局 薬剤師・中川聡さん:
患者さまは病院に行って、薬局に来て、待ち時間がかなり多くなっていると思います。患者さまからも『ちょっと長いんじゃないの』『えー』と言われる方もいらっしゃいますので、そういったストレスを軽減できるということもありますね

今回はあくまで新型コロナへの対応ということで時限的なサービスとなっているが、“新しい生活様式”に移行する中、処方箋薬宅配サービスも新たな薬局のカタチとして期待されている。

凸版印刷 ヘルスケア事業・倉重達一郎開発部長:
医薬品が安全安心に利便性とトレードオフにならない形でお届けされるということが大前提なんです。オンライン、オフラインそれぞれ長所と短所があって、プライバシーが守られているとか、感染症を予防できるなど両方の面が両立できるような仕組みが提供できればビジネスチャンスにもつながっていくのかなと思います
新型コロナ対策で良かったことは今後も活用を
Live News αではコメンテーターの長内厚教授にも話を聞いた。
内田 嶺衣奈キャスター:
こうした試み、長内さんいかがですか?
早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
せっかくオンライン診療ができるのに、薬局が密になったらもったいないですよね。これは時限的な試みといいますけど、高齢者はコロナ後も活用できる話だと思います。これを残していくことも大切だと思います。私もコロナでオンライン授業を始めました。これは意外にもポジティブな効果もあったんです

内田 嶺衣奈キャスター:
どんな効果がありましたか?
早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
例えばゼミを毎週末にやっていますが、普段呼べないような遠方の大学の先生にゲストに来てもらうとか、あるいはゼミの後に飲み会をオンラインでやるんですけど、時間を気にせずエンドレスでできるので普段できない議論をするなどのメリットもあります。今回のコロナは悲しい出来事もたくさんありましたが、時差出勤やテレワーク、あるいはオンライン授業はこれからも活かせるものですし、私の学生でもオンラインを今後もたまにはやりたいなという話がありますし、こういったものを残していくことも大切なんじゃないかなと思います
内田 嶺衣奈キャスター:
そうですよね。せざるを得ないという状況下で始めたものが、やってみると思っていたよりも便利だった、良かったというものが数多くあったと思います。新しい生活様式の中でも活かしていきたいです
(「Live News α」5月14日放送分)