生ビールを2回蒸留しアルコール度数を70%に

逆転の発想から生まれた企業の社会貢献に迫った。

5月14日、茨城県庁で不足が続いている消毒用のアルコール液が寄贈された。その原材料はビールだ。

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ビールから消毒液を製造しているのは、茨城県の酒造会社「木内酒造」。生ビールを2回蒸留し、アルコール度数を70%まで高め、手や指の消毒にも使えるようにした。

発酵したお酒のような香りがするという消毒液だが、原材料にビールを使用した理由とは?

木内酒造・萩谷真千子さん:
消毒用エタノールが大変不足している中、ブルワリーとして何かできないかということで。出荷の見込みが立たなくなってしまった生ビールを使って、消毒用エタノールができないか相談したのがきっかけです。

木内酒造の萩谷真千子さん
木内酒造の萩谷真千子さん

飲食店の営業自粛で出荷の見込みが立たず、余ってしまった生ビールを消毒液に。この要請を受け、アサヒビールとキリンビールが合わせて2万4000リットルの生ビールを提供。3社で費用を負担し、1260リットルの消毒液を作った。

木内酒造・萩谷真千子さん:
どの市町村でも(消毒液が)まだまだ不足しているという声は聞いています。アルコールやマスクをこれから必要とされる方は多いと思うので、その方たちに届けられたらと。

この消毒液は茨城県のほか、協力3社の工場などがある4つの市(守谷市・取手市・石岡市・那珂市)に無償で提供される予定だ。

不足する消毒用アルコール液をめぐっては、4月下旬にサントリーがグループ工場内で製造した消毒用アルコールを医療機関向けに提供するなど、飲料メーカーや酒造メーカーの対応が相次いでいる。

ESG(環境・社会・人に優しい企業)に対する投資の動きも

三田友梨佳キャスター:
余ったビールを消毒液にという試み、どうご覧になりますか?

エコノミスト・崔真淑コメンテーター:
こうした社会に役立つ試みはすごく応援したくなります。社会にとってやさしいだけでなく、実はビジネスでも評価される取り組みだと思います。なぜかというと、このようなムーブメントがあります。

E=EnvironmentS=SocialG=Governance
環境にも社会にも人にもやさしい。そういった企業に対してでないと、もう投資はしないというプロの投資家の動きがあります。プロの投資家というのは、株を大量に売買する機関投資家の方々ですが、ESGに即した会社の株を買おうという動きもありますから、ビジネスの面でもしっかり評価されていくのではないかと思っています。

三田友梨佳キャスター:
特にこの状況においては、社会のために何ができるのか、企業もそうですし私たち個人もしっかり考えて行動に移していきたいものです。

(「Live News α」5月13日放送分)