私がお伝えしたいのは、「習近平国家主席が外遊再開のワケ」です。
今月14日から中央アジアを歴訪した習主席。実に2年8カ月ぶりの外遊となりました。コロナの影響で外遊を控えて来ましたが来月の党大会を前に政権安定を誇示する狙いうかがえる一方、各国が活発な外交を展開する中での焦りも指摘されています。
ポイントはこちら。「習主席、必要に迫られた外遊か」注目です。
~ポイント解説 北京支局・河村忠徳記者~
記者解説習近平国家主席は今月14日から16日の日程で、中央アジアのカザフスタンとウズベキスタンを訪問し、両国の大統領と会談したほか、合わせて14カ国が参加する「上海協力機構」の首脳会議に参加しました。
これまで、新型コロナウイルスの影響で外遊を控えていた習主席ですが、2020年1月にミャンマーを訪問して以来、2年8カ月ぶりの外遊となりました。
また、今回の外遊ではロシアがウクライナ侵攻を開始してから初めてプーチン大統領と対面で会談し、「中国はロシアと共に責任ある大国としての規範を示す準備ができている」と話すなど、経済や軍事での連携強化を示唆し中国とロシアの結束ぶりを、アピールしました。
ただ、ウクライナ侵攻で厳しい立場にあるロシアと過度に接近することは避けたい思惑もあると見られます。
来月16日に控える党大会を前に、習主席がこのタイミングで中国を離れたのは、いくつかの理由が考えられます。一つは新体制への移行がスムーズに進んでいるとみられることです。異例の3期目を迎える準備が順調に進んでいるので、外国に出られる環境にあるという見方です。
もう一つは首脳同士の対面外交が活発になり、国内にとどまっていられないと思ったのではないか、という点です。ウクライナ情勢や米中対立、台湾情勢などの課題が山積する中、自ら海外に出る必要に迫られていたことも背景にあげられます。
党大会前の微妙な時期に中国を空けるのはリスクを伴いますが、ある日中外交筋は「メリットとデメリットを天秤にかけ、メリットが上回ったのだろう。
このままでは中国だけが取り残されるという焦りもあったのではないか」と分析しています。
外遊先となった中央アジアの国々についても、「カザフスタンもウズベキスタンも中国とは仲間で、批判されることはない」(同外交筋)との指摘があるように、関係が安定している国を2年8カ月ぶりとなる最初の外遊先に選んだようです。
また、「ゼロコロナ政策」で人の往来を厳しく規制してきた中国ですが、トップが海外に出たことで、その厳しい管理が今後緩和されるのかが注目されます。