これまでは廃棄するしかなかったウナギの頭を、栄養価も高くて安全なペットフードに。人が食べてもおいしいのだという。フードロスへの取り組みを取材した。
ビーフジャーキーの製法を応用 しっかり加熱が必須
名古屋市昭和区にある「うなぎ家比呂野」。

脂がのった三河一色産のウナギを贅沢に丸々1匹を使った「特上うな丼」が人気の名店だ。

その店の裏、ペットのワンちゃんが食べていたのは“ウナギの頭”。実は、ウナギの頭を丸ごと使ったドッグフードだ。

廣野耕史さん:
唯一使ってないのがウナギの頭。なんせ頭の骨がすごく硬いので、今まで何千何万と捨ててきた
店を経営する廣野耕史さん(38)。調理の難しさなどから、多い日で1日に100個以上も捨てているウナギの頭をなんとか活かしたいと考えていたところ、ドッグフードにすることを思いついたという。

廣野耕史さん:
原材料をいかに有効活用するかと考えるのが飲食店なんです。その中でも頭はフードロスしていたところなので。(愛犬に)炭火で素焼きした頭をたまにやっていたんです。そしたらすごく食いつきがいいんですよ
しかし、素焼きでは日持ちもせず、骨も固いため商品化は困難。そこである工程を編み出したという。
廣野耕史さん:
機械にならべて乾燥していく。今朝早く出来上がっていたので
80度以上の高温で1日半以上じっくりと乾燥。すると、骨までまるごとサクサクの仕上がりに。

廣野耕史さん:
ウナギそのまんまですよ。ウナギのドライフードです

この方法はビーフジャーキーなどの加工で使われる技術。飲食店を経営する傍ら猟師としての顔も持つ廣野さんは、余ってしまう鹿の肉で犬用のジャーキーを開発していて、それをウナギの頭に応用した。

試行錯誤で完成したドッグフード、その名も「UNATO(鰻頭)」。

もちろん人間も食べられるということで、試食させてもらった。
リポート:
大きな煮干しを食べているかのような、口の中で出汁のような香りがフワッと突き抜けるように香ります。おいしい!
近所のペットカフェで犬たちに試食してもらうと、食感もあってか、あっという間に平らげた。

飼い主A:
黒い子の方は、外だとおやつを食べなかったりするんです、警戒しちゃって。だけど今、びっくりしちゃった。すごく食べていたので、おいしいんだなと思って
飼い主B:
夏の終わりでバテ気味の子もいたりするので、栄養補給もかねておやつとして摂取できて、とてもありがたいです
廣野耕史さん:
今まで捨てていたものがこうやって喜ばれると、考えてよかった。出汁をとって味噌汁とかお吸い物、人間用にも試作してみようかなと思っています。安心安全な商品を作っていきたいという気持ちがあるので、喜んでもらえるとうれしいですね

名古屋市中川区の「中郷どうぶつ病院」の柴田幸助獣医師によると、ウナギにはビタミンBやビタミンD、カルシウムなどが含まれているので、疲労回復や高齢の犬の骨粗しょう症予防などに効果があるのではないかということだ。
ただ、生のウナギの血には毒があるので、「廣野さんが作ったUNATOのように、しっかり加熱したものを与えるように注意してください」と話している。
(東海テレビ)