安倍元首相銃撃事件を受けて、警察庁は、1965年から要人警護の根幹とされる「警護要則」を抜本的に見直すことを決めた。また、警察庁が自ら、情報収集や分析を行い、事前に警護計画を審査するなど、「都道府県警任せ」を脱却する方針。これらの「要人警護」改革について、きょう午後に開かれた国家公安員会で了承された。

安倍元首相が銃撃された要因として、警察庁は、安倍元首相の後方の警備に”空白”が生じ、背後からの銃撃を許す結果を招いたと分析した上で、現場の指揮が不十分だったことと、安易に前例踏襲した警備計画自体の不備をあげている。

これを受けて、これまで都道府県警が独自に作成し、報告義務がなかった警護計画のあり方を見直すという。現場が屋外か屋内か、講演か視察かなど状況に応じて、警察庁が、身辺警護、交通整理の配置、準備する資機材などの基準を作成。各県警が、その基準に沿って警護計画を立てる仕組みにするという。

そして、警察庁は、各県警が作った警護計画を、事前に審査。必要な修正を加える他、要人警護が終わった後は、チェックリストをもとに、警察庁への結果報告も義務付けられるとのこと。警護計画には、現場を俯瞰して情報共有できる「現場指揮官」の設置や、交通整理のための制服警察官の配置なども求められる。

さらに、すでにSPが導入されている警視庁の警護体制を倍増し、要人が地方に赴く際には、同行するSPも増員する。また、各県警の警備担当者を対象に、警察庁主導で、銃器や突発事案に対処する高度な訓練や、レベルに合わせた研修を実施するという。これは、全国各地に警護エキスパートを増やす狙いがある。

一方、現場の状況把握などにドローンやAIを活用。3D技術で警護計画を作成する他、警護対象者の周囲に設置する防弾壁や防弾衝立を新たに導入するなど、資機材の充実も図りたい考えだ。

社会部
社会部

今、起きている事件、事故から社会問題まで、幅広い分野に渡って、正確かつ分かりやすく、時に深く掘り下げ、読者に伝えることをモットーとしております。
事件、事故、裁判から、医療、年金、運輸・交通・国土、教育、科学、宇宙、災害・防災など、幅広い分野をフォロー。天皇陛下など皇室の動向、都政から首都圏自治体の行政も担当。社会問題、調査報道については、分野の垣根を越えて取材に取り組んでいます。