自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。

今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家に寄せられたのは、こんなエピソード。

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「2歳の子どもに『ちょっと待って』が通じない!あと少しで見てあげられる…という時も、わずか数秒が待てずに泣きながら騒いだり…これってうちだけ?」

料理や掃除の最中、さらに最近ではリモートワーク中のパパママも増え、お仕事中に子どもたちからの「パパママ、ちょっと来て」の声がかかる…なんていう場面に出くわすことも多いはず。
忙しさについつい「ちょっと待っててね!」と言ってしまいがちだが、すぐに「ねえねえ、まだ?」と聞き返されてガックリ…という経験をしたことがあるパパママもいるはずだ。

SNSでは2、3歳の子どもたちを中心に見られたエピソードだが、「ちょっと待って」が待てない子どもゴコロって、どうして?

育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。

――「ちょっと待ってね」が伝わりにくい子どもゴコロの理由は?

子どもの言語発達を見ると、子供はまず具体的な言葉から学んでいきます。抽象的な言葉は後回しです。「ちょっと待ってね」の“ちょっと”は抽象的な言葉の典型で、それがどれくらい“ちょっと”なのかが分からないため、「言ったのに伝わらない」ということが起こります。

この言葉以外にも、「ちゃんとやって」「きちんと片づけて」「急いで!」なども同様です。 親からしたら、「ちゃんと子供に伝えたのに…」という思いがあるので、 

「ちょっと待って」と言ったのに、「待ってくれない」 
「ちゃんとやって」と言ったのに、「やってくれない」
「きちんと片づけて」と言ったのに、「ちっとも片づけない」 
「急いで!」と言ったのに、「だらだらしてる」 

と感じ、「ママの言うこと聞いてないでしょ!」とイライラしてしまうこともあります。
大人であれば、このようなあいまい言葉でも、行間を読めますが、子供たちはかなり大きくなるまで、言葉以上の解釈はできないものです。親が子供に何かを指示するときは、「言えばOK」ではなく「子どもが分かる言葉で表現しているか」が大事なポイントになります。 


佐藤氏によると、子どもたちに「ちょっと待って」が伝わりにくいのは、「ちょっと」という言葉の難しさが原因。子どもたちからすれば、どれくらい待てばいいのかわからない!という不安やイライラが、うまく待てない原因になっているのかも知れない。

では、「子どもがわかる言葉で表現する」コツは、どんなものがあるのだろうか?

――「ちょっと待って」をうまく伝えるにはどうすればいい?

子どもがはじめに覚える言葉は、ママやパパ、そしてワンワンやニャンニャン、さらには赤、青、など、いずれも名詞が中心です。そして徐々に動詞も覚えていきます。子どもに伝えるときは、知っている言葉、もしくは目に見える形に落とし込むことで伝わりやすくなります。 

数秒、数分のことであれば、 

「タイマーがジリジリって鳴ったらOKだよ」 
「10まで数えて」 
「大きなくりの木の下で、を歌って待ってて。今CDかけてあげるね」 


など。それ以上であれば、 

「時計のこの針(長針)が、ここまで(12の場所など)行ったら、ママお仕事が終わるから、それまで○○して待ってて」 

など。
タイマーはスマホなどでもかけられますが、子供にとっては、昔ながらのカチカチと進むダイヤル式のタイマーの方が、少しずつゼロ(子供にとってのゴール)に向かって動くのが見られるので、分かりやすいようです。

ただ、誤解してはいけないのが、10まで数えられれば、物の数を数えられるというわけではなく、また、時計が読めれば、時間管理ができるというわけではありません。それらはまた別のスキルです。「8:00」という時刻が読めても、それで8:00までに朝の支度ができるようになるのかというと、そうではないのですね。 

親がこれはできるだろうと想定している能力と実際に子供がこなせる能力には、まだまだギャップがあることも大いに考えられますので、言ってみてうまくいかなかったら「言うことを聞いてくれない」よりも前に「うまく伝わっていなかったのでは」ということを疑ってみるのも大事になります。 

「ちょっと待って!」が子どもたちに伝わりにくいのは、言葉を覚える過程にいるから。
わかりやすい言葉で「ここまで待ってね」というゴールを示してあげることで、子どもゴコロにもしっかりと伝わってくれるだろう。

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(漫画:さいとうひさし)

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。