日本国内の新型コロナウイルスの新規感染者数が23日、初めて20万人を超えた。政府はワクチン4回目接種の対象を医療従事者らに拡大するほか病床の追加確保を行うなど「保健医療体制の確保」に万全を期す構えだが、政府は現時点では「まん延防止等重点措置」などの新たな行動制限は行わない考えだ。

新たな対応策も「行動制限は考えず」

「新型コロナの感染が全国的に拡大をしていて、最大限の警戒が必要だ」。岸田首相は22日、長野県軽井沢町で開かれた経団連の会合で講演の中で新型コロナの感染拡大に懸念を示した上で、「日本は、これまで6回の感染の波を乗り越えてきた。全体として対応力は強化されている。政府としては現時点で新たな行動制限を考えてはいないが、医療体制を維持・強化しメリハリのきいた感染対策を行ないながら、社会経済活動の回復に向けた取り組みを段階的に進めていく方針だ」と強調した。

これに先立ち、岸田首相は後藤厚労相ら関係閣僚と感染が急拡大する新型コロナの対応策について協議。後藤厚労相は記者団に対し、濃厚接触者に求めている待機期間について現在の原則7日間を5日間に短縮すると発表。さらに抗原定性検査キットで2日目と3日目の検査で陰性が確認できた場合は、3日目に待機を解除するとした。また家庭内や医療機関、高齢者施設などを除き、濃厚接触者の特定、行動制限を行わないとした。

取材に応じる後藤厚労相(22日)
取材に応じる後藤厚労相(22日)
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「感染者減のエビデンスない」

「過去のデータからみると現状は既に緊急事態宣言が出されているレベルだということを重ねてお伝えしたい」。21日に厚労省で行われた専門家会合で、一部の専門家が「緊急事態宣言」という言葉を使い、感染急拡大に強い懸念が示されたという。

一方で、政府は緊急事態宣言などの行動制限には一貫して否定的な態度を崩していない。「感染者が減らせるエビデンスがないのに、行動制限や時短要請などはできないだろう」(自民党閣僚経験者)との指摘があるように、政府内には今回の感染拡大の原因について「飲食ではない」との見方が強い。ある政府関係者は「今回の感染拡大は飲食店ではなく、家庭で起きている」として、飲食店への時短営業などの行動制限を行っても「出口がない」と説明する。また政府内には「感染者数の増加の速度は鈍化している」と指摘する声もある。

行動制限なしの対策に悩みも

ただ、17日にフジテレビの「日曜報道 THE PRIME」に出演した自民党の田村前厚生相は新型コロナの新規感染者について、8月上旬には全国で1日に「40万人近くということもありえる」との見方を示すなど、感染の急拡大への懸念は根強い。

17日「日曜報道 THE PRIME」に出演した田村前厚労相
17日「日曜報道 THE PRIME」に出演した田村前厚労相

政府内からも「無策だと思われないように、今は行動制限だと言われない範囲で国民に何らかの感染症対策をしてもらう方法が、果たして存在するのか頭を抱えている。結局、今のところは国民の自主的な感染対策に委ねるしかない」と悩みの声が漏れる。

別の政府関係者は 「今は重症者数と若者に対する3回目のワクチン接種が重要」と強調する。政府が公表しているワクチン3回目接種の年代別接種率では、60代以上が8割を超えているの対し、20代が46.9%、30代が50.7%となっており、若い世代への3回目接種は順調に進んでいるとはいえない。

行動制限なくコロナの感染急拡大を乗り越えられるか。岸田政権の手腕が試されている。

(フジテレビ政治部・長島理紗)