新潟市秋葉区新津(にいつ)。かつて複数の路線が行き交う交通の要衝だった新津は、鉄道産業で栄え、今でも鉄道の街として知られている。ここ数年は新型コロナ禍で多くのイベントの開催が見送られてきたが、地域の元気を発信しようと、初めての音楽祭が開かれた。
吹奏楽部「制限がかかりっぱなしの3年間」…初のイベント参加に気合い

新潟市秋葉区にある新津第一中学校。
吹奏楽部の3年生は入学してから今まで、新型コロナウイルスの影響により体育祭や運動部の大会などで直接演奏して応援することができなかった。

吹奏楽部の3年生は「制限がかかりっぱなしの3年間」「音楽で届けたかった思いが届けられないので残念」と、やりきれない思いを吐露する。
そんな吹奏楽部で2022年6月、熱のこもった練習が繰り返されていた。鉄道の街として知られる新津で初めて開かれる音楽祭「鉄おん」で、曲を演奏することになったのだ。

新津第一中学校 吹奏楽部・高橋宣明 顧問:
第1回の鉄道音楽祭で、鉄道の街・新津を盛り上げる

部長の古川舞桜さんも、「地域のイベントに参加するのは、新型コロナ禍で初めての経験なので、うれしい気持ちと頑張ろうという思いがある」と意気込む。
街に再びにぎわいを!音楽祭に向け大人も子どもも準備開始

新津駅近くの広場で開催される「鉄おん」。発案したのは、新津で生まれ育った土屋正也さん(61)だ。土屋さんが新たなイベントを企画した背景には、これまで新津の商店街で行われていた歩行者天国やハロウィーンなど、様々なイベントが新型コロナウイルスにより中止になったことがあった。

にいつ鉄道音楽祭・土屋正也 実行委員長:
新型コロナ禍が収まってきたので、鉄おんを、夏祭りに向けて起爆剤にしたい
6月のある日、土屋さんの考えに賛同した新津の商店主などが集まった。

にいつ鉄道音楽祭 土屋正也 実行委員長:
SLばんえつ物語(=JR東日本が新津駅ー会津若松駅で運行している臨時列車)のように、元気な新津の街を取り戻す
この場には、新津商工会議所青年部メンバーの姿もあった。

新津商工会議所青年部は10年前から、SL・C57の形をした大判焼き風の菓子「しごなな焼き」を、様々なイベントに出店して販売。しかし最近は出番がなかった。

新津商工会議所青年部メンバー:
ようやく、しごなな焼きを焼けるうれしさがある。色んな人に食べてほしい
そんな鉄おんで最も注意しているのは、感染症対策だ。

にいつ鉄道音楽祭 小嶋孝代さん:
今まで新型コロナでイベントができなかった。鉄おんがスタートのイベントなので失敗できない

一方、新津にあるダンススクールの子どもたちも、鉄おんでダンスを披露するため練習を重ねていた。こちらも中学校の吹奏楽部と同じように、発表の場が限られていたのだ。
子どもたちは、「久しぶりにお客さんに見てもらえるから頑張って踊りたい」「常に笑顔で頑張りたい」とやる気十分だ。
汽笛の合図で音楽祭スタート!待ち望んだイベントに笑顔広がる

そして迎えた7月3日、にいつ鉄道音楽祭「鉄おん」当日。暑い日差しが照りつけたため、感染症対策に加え、熱中症対策も取られていた。

午前10時、SLばんえつ物語号の汽笛が、鉄おんの始まりを告げる。

まずは新津第一中学校吹奏楽部が演奏を披露。学校で仲間を応援できなかった分も、心を込めて演奏し、地域を応援する。
吹奏楽部の3年生:
楽しさ、うれしさしかない。頑張ってきた甲斐があった
吹奏楽部の3年生:
地域の人たちの笑顔が見られてよかった

新津でダンスに夢中な子どもたちも、元気を届ける。
ダンススタジオに通う子ども:
久しぶりのイベントだったので、楽しく踊れた
ダンススタジオに通う子ども:
とっても楽しかった

そして、お客さんが食べていたのは、SLの形をした、しごなな焼き。
お客さん:
久しぶりに食べられた。やっぱりおいしい
新津商工会議所青年部メンバー:
きょうをきっかけに色んなイベントに参加して、鉄道の街・新津をPRできれば

線路沿いで開かれた音楽祭。演奏中にも電車が走る。客は、「新津の鉄道と音楽祭を結びつけて、地域を盛り上げるというのはすばらしい」「この鉄おんをきっかけに、色んなイベントができるようになればいい」と話していた。

にいつ鉄道音楽祭・土屋正也 実行委員長:
鉄おんを始まりに、夏祭りや色々な行事があるので、元の鉄道の街・新津に戻るといい
大人から子どもまで一緒になって、地域の元気のために前へ進む。新たな日常への出発だ。
(NST新潟総合テレビ)