私がお伝えしたいのは「韓国、また前政権に捜査のメス」です。
文政権下での脱原発政策を巡り検察は、当時の大統領府が不正を指示したとみて捜査を進めています。しかし、文政権が退任間際に強行した検察の捜査権を縮小する法改正で検察は9月からこの事件を捜査できなくなります。
ポイントはこちら「タイムリミットは残り2カ月あまり!捜査が間に合うのか」注目です!
【注目ポイント・記者解説】
韓国では政権交代の度に前大統領や側近らの不正が追及され逮捕や収監などが繰り返されてきた。今回、疑惑の渦中にいるのは文在寅前政権時代の産業通商資源大臣で脱原発政策を巡り電力関係の公的機関幹部に辞任を強要した疑いが持たれている。
裁判所は、元大臣に対する逮捕状の請求を棄却したが検察は大統領府が不正を指示したとみて当時の関係者を追及する方針だ。保守系・尹錫悦政権の発足からわずか1カ月半での本格捜査に対し野党側は「報復捜査」だとして反発。
一方、尹大統領は不正は政治判断と関係なく追及されるべきとの考えで今回の捜査も「正当な判断」との見方を示している。検察が捜査を急ぐ背景にあるのが尹氏の当選に危機感を強めた文政権が駆け込みで成立させた『改正検察庁法』だ。この法律が9月に施行されることで検察の捜査権は以下のように剥奪され大幅に縮小することになる。
●検察庁法の改正内容
①腐敗 ◯維持
②経済 ◯維持
③公職者 X剥奪
④選挙 X剥奪(年末までは可能)
⑤防衛事業 X剥奪
⑥重大事故 X剥奪
文前大統領にとっては自身が仕えた盧武鉉元大統領が検察の捜査を受け自殺に追い込まれた経緯があり『検察改革』はまさに「念願」だった。9月からは大統領選で尹氏に敗れた李在明氏の都市開発を巡る不正疑惑に関しても検察は捜査できなくなる。
捜査権は警察に移されることになるが韓国メディアは検察の手を離れることで「事件自体がうやむやになるのでは」と指摘している。
(フジテレビ国際取材部 仲村 健太郎)